第10章 梅と
ー穂波sideー
あああああ…… 思わず口が滑った。
研磨くんがわたしとの赤ちゃん、とかそういうことを真剣に考えてくれてるのはわかってる。
だから、そこに関しての恥ずかしさはないはずなんだけどそれにしても。
その子が大きくなって、とかの具体的な妄想の開示とか恥ずかしすぎる。
実際に具体的に妄想してるっていうより、
もしかしたらこんな風にこれが使われる時がきたりして…♡みたいなむふふなんだけど…
だから、そうならなきゃいけないわけじゃない。
レシピカード、触れもしない、記憶にもない、みたいな子かもしれない。
いろんな、個性が。 いろんな興味が、あるから。
それでもいいの、それならそれで、なの。
だから、期待とかそういうんじゃなくって……
『ただ…… 一つの…… 原動力になるの あと 単純に楽しいの、幸せなの』
目が、見れない。
恥ずかしい………
斜め下を見ながら言葉にすると、頭にぽんってあったかい手。
「穂波、こっち、見て」
『………』
「おれも、おれもだよ、一緒。赤ちゃん、こども、もだし。
穂波とこれからしたいいろんなこととか、するだろうなってこととか。
全部おれの、大きな原動力になってる」
恥ずかしくて、目が見れなかったけど、
それをそのままにして研磨くんが嬉しいこと、優しい声で言ってくれるから。
聞き終える頃には、研磨くんのこと見れてた。
「…ふ、やっと目、見てくれた」
『…ん』
優しい目で、ふわって笑って。
おでこに添えたままになってた腕をそっと掴んで、おでこにキスをしてくれて。
そのまま、優しいキスを数回。
幸せすぎて、自分が光の粒になって散り散りになってしまうような心地がした。