第10章 梅と
ー研磨sideー
穂波とケーキを作ることになった。ゼリーも。
ゼリーの作り方教わるの、
今日やることになってるからその間3人で川行ったりしてて、みたいな。
無理やり感すごいけど、元也くん以外は理由知ってるわけだし、
元也くんもあんな感じで心底いい人だし。
おっけー!みたいな感じで、ほんとに快く家を出てった。
普通に考えておかしいんだけど。
ゼリー作るから出てって、意味わかんないでしょ。
せめて、涼しい部屋でゲームでもしててとかならわかるけど。
──「…台所でしかできんプレーがあったりすんの?」
角名くんはわかってるくせに、敢えてかなんなのか、そんなこと聞いてきた。
「…まぁ、なくはないけど。 関係ないでしょ」
「ま、そうだね、関係ないわ」
「ん、」
「いやいや、カズくんの前で何言ってるのさ!何であれ了解したから!
また時間になったら連絡入れてから、戻るようにするね!」
「あぁ、そうだね。そうしてくれると助かる。まだ、やってるかもしれないし」
「やっ やってる!?」
「うん、作るのとか」
「作るの、とか…ね……」
元也くんは言葉のままを想像して、気を使ってくれて。
おれも変なこと言ってないんだけど、事実のままに喋ってるんだけど
その捉え方の違いみたいなのがおもしろくて。
なんとか笑いは堪えてたんだけど
元也くんの半歩後ろで角名くんとカズマが笑いを堪えきれずに小さく吹き出してて。
「…ふ 笑」
「えっ 研磨くん今笑った?」
「いやいや、研磨くん意外と普通に笑ってるじゃん、穂波といると」
「いやでもそれはおかしくってじゃないじゃん。
おかしくって笑ってる時もあるけど、それはなんか、
穂波ちゃんへの想いが溢れて滲んで仕方ないみたいな笑いじゃん」
「…は?ちょっと元也くん」
「ぶはっ…… まー事実だけど、本人の前でよく言ったね、古森」
「………」
「あー、ごめんごめん、じゃあそういうことで? また連絡する〜」
そんなやりとりとかありつつ、3人は出てった。
カズマが、おれらと残るんじゃなくて一緒に行ってるあたりが、
やっぱりちょっと、面白いな、今までと違うなって思う。