第10章 梅と
ー穂波sideー
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「侑らんとこには連絡してある。聖臣くんも、夜いけるって」
『わかった♡』
今、Vリーグはシーズンオフで。
でも、オフとはいえ、色々と大会はある。
だからみんながうちに来る、ってことはないんだけど、
オンラインで繋がれたらって話してたんだぁ。
なぜなら明後日、7月30日は、古森くんの19歳のお誕生日だから。
せっかくだもん、お祝いしたい。
そしてせっかくだもん、みんなも!
聖臣くんと侑くんは同じチームでそしてなんと!
光太郎くんも一緒。
古森くんと他のみんなは高校よりもっと前から、
バレーの全国大会や合宿で顔を合わせてた感じで、学校は違っても面識はある。
だから、倫ちゃんが侑くんに声をかけてくれた。
なのでこれから……
わたしはなるべくこそこそと、なるべくなるべく、こそこそこと。
準備をするのである。
でも準備に時間使って肝心の本人との時間過ごせないのもわたしは悔しいから。
お料理は手巻き寿司にする。
なのでこそこそするのは、ケーキ作りなわけだけど。
焼き上げるとどうしてもいい匂いしちゃうなぁって考えてたら、
高一、初めて一緒に過ごしたクリスマスに食べたチーズケーキは焼いてたっけ?って研磨くんが。
そっか、レアチーズケーキ♡ってなって、材料を用意しておいた。
研磨くんが、3年前のクリスマスのケーキをそんな風に覚えてくれてることに、
ものすごくきゅううんとしたのは言うまでもない。
白かった、とか チーズケーキ、とかを超えて。
焼いてたっけ?って。
味とかテクスチャーとか、覚えてくれてないと、出てこないようなことで。
すっごく嬉しくなったし、決まり!ってなった。
フロマージュ・クリュ。
ゼラチンを使わないレアチーズケーキ。
土台はざくざくとしたガレットぽい生地を焼くんだけど、
今回は全粒粉のビスケットとバターで簡単に。
その上にチーズクリームの生地と缶詰のパイナップルを流して固めるのだけど。
それを今から、研磨くんと。
そう、研磨くんと♡ するんだぁ。