第10章 梅と
ー穂波sideー
途中、よろけて壁に傾いたタイミングで
研磨くんに深く深いキスをされた。
半分寝てて、歩いてて、まるで酔っ払いにキスされたみたいな感じ。
そのあとなんとか部屋まで連れて行って
とすんっととりあえず一緒にベッドに寝転がると
寝ながらわたしの身体を弄ってくるので流されそうになる。
さっきのキスで準備はできてしまっているし
寝てる研磨くんってまた絶妙にエッチだし。
でもでも、後でまたくるねって囁いておでこにキスを落とした。
離してもらえるかはわかんなかったけど離してくれて、
それからスースー寝息を立てて寝たから、そーっと寝室を抜け出して玄関へ。
小さなカゴバッグにフルーツと水筒とタオルを入れたのを手に外へ出ると
古森くんがこっちを振り返ってにかって笑って手を振った。
早朝、小川に行くのっていい。
たまに研磨くんともしてるんだ。
古森くんとゆっくり歩き出す。
そう、古森くんって結構大きいんだよな。
毎回毎回思う。なんでかな、なんで、小柄なイメージがあるんだろ、わかんないけど。
毎回わぁ、って。
今も隣に並んで、わぁってなって、つい見上げてしまう。
「なにっ?」
にかって笑って、見下ろされて。
胸がきゅんってした。
古森くんのこのにかって笑顔に弱い。
『ううん、なんでもない、よ』
「そっか〜 …この辺からもう降りちゃう?」
『うん、降りちゃお』
家のすぐそばに流れてる小川だから、すぐについて。
木陰でひんやり、虫もまだ、少ない。
石に腰掛けて、持ってきたフルーツとそれからお白湯をちびちび飲む。
「白湯、いいね」
『ね、この時間ここ、結構ひんやりするから』
「お茶でもなくこの、白湯がいい感じ。 聖臣もさ、朝一番は白湯を飲むんだよね」
『へぇ〜 さすが聖臣くん』
「なんか、いいんだってね。
でもこうして美味しいとかよくわかんないけどいいな〜って感じるってことは、いいんだろうな、って思う」
『ふふっ うんうん』
古森くんのこのバランス感覚好きだなぁ。
聖臣くんも古森くんの存在にたくさん、支えられてきたんだろうなぁって。
想像して、ひとりむふふってしてしまう。