第10章 梅と
「…研磨のゲーム部屋はおれも夢だけど」
「あー!!それじゃん!それ!」
「それ?」
「自分の基地づくり的な。大人になったらできる、最大の子供っぽいこと」
「…基地 …たしかに」
基地、か。
研磨くんのゲーム部屋は徐々にアップデートされてる。
でも、ほんと、徐々にでそれがまた。
大事に大事に進めてる感じがあって愛おしい。
時に、すぱっと大胆なこともするけれど、それも含め。
時を見計らってしてるのがわかるから。
研磨くんはしばらく自分の世界から帰ってこなくて。
研磨くんに無理やり何考えてるか聞く人もいなくて。
そのままそっとしておいて、
みんなはみんなで話を続けてる内に、研磨くんはこっちの世界に戻ってきた。
わたしの指に、研磨くんの指が絡まる。
「…穂波、風呂どうする」
『あ、そうだね。順番に入ってもらおっか。研磨くん最後でいい?』
「…ん、一緒に入る」
『うん』
そうしてお風呂の用意をして、カズくんから順番にお風呂に入って。
居間の隣の和室に用意してあるお布団敷いて。
カズくんは研磨くんの部屋で一人で寝るかな、って思ったんだけど
いいよ別に、この人たちとならって3人で同じ部屋に。
また明日ね、おやすみ〜って、自分たちの寝室に向かう。
「カズマ、穂波と寝るっていうかと思った」
『あ、ほんとだね。 ほんとだ』
実家に泊まる時はいつもわたしの部屋だったのに。
大きくなって、ってとこかな。 きゅんとしゅんが同時に……
「いやカズマはまだまだ穂波と寝る気だと思うよ」
ベッドの上、わたしの腰に腕を回して研磨くんが呟く。
「…でもまぁ、それでも2人と一緒に寝る辺りちょっと、成長なのかなとか、思うかも」
『ね…あの2人だから、かもしれないけど』
「最初すごい、怪訝そうにしてたのにね」
『ふふ……それでもトーンの落ち着いた、それでいて飾らない2人だからかな』
「…ん、」
そうして自然と唇が重なって、
さっき着たはずのパジャマは一枚ずつ脱がされて。
さっきまでの賑やかさから一転、静けさに包まれた寝室で、
静かに、静かに、身体を重ねる。