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【ハイキュー】 続・波長 【孤爪研磨】

第3章 くじら









『京治くん、お茶飲む?』







調理室に入っていくと人参を切りながら穂波ちゃんが聞いてくれる。







「あぁ、ありがとう。でも、作業が落ち着いたタイミングでいいよ。
っていうか俺も手伝えることがあるなら…」

『うん、ありがとう。 じゃあ、何かあったらお願いするね!
あと冷たい麦茶だったら、冷蔵庫に入ってるよ。セルフサービスでよければどうぞ』

「あぁ、うん。じゃあ、もらおうかな。2人は? 注いでおこうか?」







廊下であんなに慌てていたのに。
穂波ちゃんと話し出すと不思議と落ち着く。

慌てさせてる張本人が、落ち着かせるってことが不思議なようで…
でも木兎さんも似たような感じだったな、と思う。








『あ、うん!じゃあそこのグラスにお願いします!』

「あ、ありがとうございます」








阿部さんはきゅうりを木の棒で叩いてる。

……?








「阿部さんはなにをしているの?」

「えっ、あっと、これはきゅうりを叩いています。こうすると味の馴染みがよくなるそうです」

「…あぁ、なるほど。 麦茶はこっちに置いておくね」







叩く時に振動が起きるから、隣の作業台に置いておく。
穂波ちゃんの切ってる人参も、
阿部さんが叩いているきゅうりも、量が、すごい。
そりゃ、当たり前だけど、こうしてみると、その労力に改めて頭が下がる思いがする。







『あのきゅうりもね、山本くんのおじいさんからだよ。
ほーんと、新鮮なお野菜をみると、触ってるとそれだけで元気になるよ』







穂波ちゃんは言葉のまま、本当に元気でそして幸せそうで。
労力、なんていう言葉で形容した自分は本当に、浅はかだなと感じた。
この子は本当に、深い美しさを持ってる。







『…京治くん?』

「…あぁ、うん。 そうだね、俺はそんな穂波ちゃんを見てるだけで幸せだよ」

『へっ えっ あっ…』







しまった…
ぼんやりとしていて、つい、思っていることをまた…









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