第10章 梅と
ー穂波sideー
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「いやちょっと…… 待って……」
倫ちゃんがしゃがみ込んで、痛みに耐えてる。
『2人とも選手なんだもん、ほどほどにね』
「いやほどほどもなにもこれって基礎中の基礎なんじゃないん?」
『……うん、まぁ、そうなんだけど』
倫ちゃんはやはり流石の体幹おばけで、プッシュはすごい速さで体得した。
なんだろ、とりあえずできるそれじゃなくって…
上手い人のそれって感じのプッシュをすぐにできるようになった。
しっかり軸足、倫ちゃんは左脚に乗ってる。
左脚が前なのがレギュラー、右脚が前なのがグーフィー。
サーフィンやスノボと一緒。
古森くんもレギュラースタンス。
わたしは単純に左利きだからグーフィースタンス。
カズくんは右利きだけどグーフィースタンス。
だからスタンスをスイッチさせた、レギュラースタンスでやるのも得意で、
つまり、大会とかで点数を叩き出すのにも有利だったりする。
とかとか、スタンスひとつとっても、
色んなとこに繋がってくるからおもしろかったり。
そう、それでプッシュのあとはチックタックでもする?ってなって。
それでそれも倫ちゃんすんなりいくかなって思ったんだけど、
いやそれでもすんなりいってるんだけど、あるあるだけど、デッキが足に追突して来て。
逃げても追いかけてくる謎のあるあるで。
そしてそれはなかなかに痛いので、倫ちゃんは何か言いたげ。
「転けたら痛いのは想像してたけども…… なにこれ、ぶつけてこんなに痛いの?聞いてない……」
「逃げてる角名、スケボーが追いかけてたな!」
「…ん、でもまぁいい感じなんじゃない。 オーリーくらいやっとく?」
「オーリー?」
「こういうの」
カズくんはかるーく、たかーく飛ぶけども。
みんな、そんなのすぐできるって想像しちゃダメだよ。
ほんっと、最初はひとっつも捲れないんだから!
って、心の中でそんなこと思いながら。
これができたら、それっぽいよね、うんうんって。
やりたーい!って目になってる古森くんを見てわたしも、ワクワクする。