第10章 梅と
ー古森sideー
信号のとこで停まった時に穂波ちゃんの顔を見ると、
顔赤くして静かにあばあばしてて、妙に、そそられた。
「…穂波ちゃんって左利きだから」
『うん?』
「片手使うなら左手で運転するの?」
『片手運転なんてできないけど、たまに手が離れる時はある。離れるのは右手』
「…ふーん、じゃあ運転中はさすがに手とか繋がないんだ?」
『えっ?』
「ほらこうやって…」
すっと穂波ちゃんの右手をとってみる。
手を出そうとか思ってもいないけど、からかいたくなっちゃってしょうがなかった。
『ひゃっ……』
手を繋いだだけなのにいいとこ触ったみたいな声出すし、
表情もすげーエロいし。
あー、勝算がなくても手を出したくなる人たちの気持ちがわかっちゃった。
指とかからめ……
「ちょっと、古森くん、突き落とすよ」
「えぇっ!?」
「…笑 古森くんどこから突き落とされるん?」
「……間違えた」
「え、ちょっと待ってちょっと待って。なんで?」
「本気で言ってるの? その手、」
「あー!ごめんごめん!はい、離すから突き落とさないで」
「でも間違えたってなんなん?」
「ただ… 小金井公園にはセクションとかなかったと思って」
「セクション?」
「まぁいいよ、手離したし」
カズくんと穂波ちゃんがアメリカで住むことを研磨くんが了承したのは
このカズくんのパトロール効果を視野に入れてのことかもな、とか。
なんか、そんなことを思った。