第10章 梅と
縁側まで移動してかき氷食って、
出れるように準備する〜とか言って
穂波ちゃんはお皿を持って台所に行って。
台所からいい匂いするな〜とか思ってたら、
気付いたら穂波ちゃんは庭にいた。
「部屋から出て来たん? やーらしー」
『何もやらしくないです〜 研磨くんにそろそろ行ってくるねって声かけただけだもん』
「ふーん… チュウしてないの?」
『倫ちゃんのばか!』
穂波ちゃんは顔を赤らめてもじもじしながら梅干しを梅酢に戻していく。
「ばかはそっちだもん! 穂波のばかー」
角名はいつもは見ることのない楽しそうな顔で、
穂波ちゃんをおちょくりながら庭に出る。
「せっかくおそろだったのになんで着替えたん?」
『…あ、ごめん、汗かいたから……』
「何して汗かいたん?」
『梅仕事とか台所とか色々、倫ちゃんはシャワー浴びたい?』
「シャワー浴びないけなくなるようなことしたい」
『そそそそそそ、それならスケボー早くいかなきゃねっ』
「…笑 どもりすぎでしょ 笑」
この2人は妙な仲良し感がある。
実家が隣の幼馴染です、とか言われても普通に信じちゃいそうな感じ。
空気感とか、なんか、似てるわけじゃないんだけど、
だからこそか? 昔っからの腐れ縁、みたいな。
でも実際会ったのは俺が穂波ちゃんに会ったよりあとだから…
相性とか組み合わせってのがあるんだなーって思う。
俺もカズくんも一緒に梅を戻して、
俺の車にスケボーとか積んだりしてたら研磨くんがのそのそって起きてきて。
穂波ちゃんはかき氷食べる?って嬉しそうに聞いて、
「…ん、食べる。小さいやつ」
って返事に嬉しそうに笑って、小さなかき氷を作って渡してた。
シロップはやっぱり梅シロップだった。
なんかやっぱ、あれなんだよな。
聖臣もよく言ってたけど。
美味いだけじゃなくて確かに、身体が元気になる感じがわかりやすくわかる感じする、梅って。
だから、正直この一連の梅仕事とか色んな意味ですげー楽しいんだよね実は。