第10章 梅と
ー古森sideー
『わ!』
「わ!」
トイレ借りてまたゲーム部屋に戻るため廊下を歩いてたら、
ちょうど風呂場の前通りかかったときに脱衣所の扉が開いた。
出て来たのは穂波ちゃんだけで(研磨くんはいなかった)
Tシャツにハーフパンツっていうラフでカジュアルなんだけど、
なんかエロい、なんかかわいい格好で出て来た。
髪も、洗ってないけどちょっと濡れちゃった、くらいの濡れ具合で。エロい。
それで割増に驚いちゃった。
『ごめんね、驚かしちゃった』
「ううん、全然!」
『古森くんも浴びる? もしよければ』
「いや俺はいいよ、涼しいゲーム部屋でずっとゲームしてたし」
『…ふふ、そうだった。
かくいうわたしはシャワー浴びたくせにこれから梅をひっくり返しに行くよ。
先にやればよかったんだけど』
「…けど?」
『…え、あ、いや、ううん。 倫ちゃんもやってくれるらしいから声かけないとなって』
「あぁ! …あぁ、あー……」
シャワー浴びずに角名を呼びにいくのはちょっとな、って状態だったのかな。
まぁ、多分そうでしょ、さっきの角名の話的にも。
「俺も一緒にやるよー、もちろん」
『ありがとう〜♡ 梅ひっくり返したら、かき氷食べよう?』
「かき氷?」
『うん、かき氷機をね、大家さんにもらったんだぁ。氷も作ってある』
「へー!いいね、食いたい食いたい!」
そんなわけで、今日最後のひっくり返す作業をして。
ちょうど15時だね、ってみんなで氷を削って。
そのかき氷機も手動ですげー、味のあるやつ。
経年による味はあるけど、この家管理してた大家さんの持ち物って感じで、丁寧に保存されてたのがわかる感じ。
実際、くれる前に刃の交換してからくれたんだって言ってた。
シロップは梅シロップか黒糖シロップ。
黒糖シロップにはあんこときなこ添えよ〜とか言って、
穂波ちゃんはすげーうきうきしててかわいかった。
…けど、みんな梅触ってたからなんでか知らないけど、
俺はやっぱさっぱりしたかったのもあって、梅シロップで。
穂波ちゃんもなんだかんだ言って梅シロップで。
そんなわけで写真を撮って聖臣に送っておいた。