第10章 梅と
ー穂波sideー
・
・
・
研磨くんがすーすー寝息を立てて寝てる。
あのあと台所を少しだけ片付けて、一緒に部屋に来て。
この間完成したカズくんのフルパート、
渡米前に日本でだけのを作ったフルパートとか周平のクリップをタブレットで観たり。
ごろごろ、だらだらしながら過ごした。
研磨くんのアカウントで観たんだけど、
ゲーム実況?解説?とかいうのがおすすめで多く表示されてて。
今までも研磨くんのアカウントで入ったことあるけど
(単純にパソコンやタブレットが研磨くんのだと研磨くんのアカウントのままだから)
基本YouTubeとかみないみたいで、
表示されるのは文化祭関連動画(おそらく焼きマシュマロくんたちのそれを観たからかな)
スケボー、スノボ、サーフィン関連動画ばかりだった。
けど、さっきそこに堂々とゲーム実況のがあって、少し驚いた。
思いがけないことに、なぜだか少し。
研磨くんって、カズくんもそうだけどゲームに関しては攻略本とか要らないみたいで。
だからYouTubeでそういう動画を見てることが少し、意外なんじゃなくて、んー…何だろ。
新しくって、わぁってなった。
研磨くんは別段それについて話したりとか説明するとかもなく、普通で。
てことはつまり、これについて話しかけても気にならないことかなって思って、聞いてみた。
──『今やってるゲーム?』
「え? あ、これ? ううん、もう全クリしたやつ」
『…へぇ』
全クリって全部クリアってこと?
クリアしたのを観るのはどういうわけなんだろ… まぁ、いっか。
「…ふ、なんかちょっと気になったけど まぁ、いっか ってしたでしょ」
『…ん、まぁいいかなって』
「うん、別にいいよ。またそのうち話す」
『うん、その内』
そんな風にして目を合わせて、身体を絡めて、額を寄せれば。
向かってく方向は一つしかないみたいになって、
やっぱりわたしたちは、繋がった。
そうして今、研磨くんは裸にタオルケットをかけて、すやすやと眠ってる。
わたしは… シャワー浴びて、それから梅干しを裏返そう。