第10章 梅と
ー古森sideー
「おーなんか小洒落てる!」
角名が戻ってきて、おぼんのうえにはピッチャー?なんかお洒落なガラスのやつに水が入ってて。
水にはスライスした柑橘とあとミントが入ってる。
お菓子もいくつか。
きな粉飴も、豆皿に乗ってる。
なんか、懐かしいな。
2年の時の春高で、俺の髪がきな粉色だからって、これ作って持って来てくれたんだよな。
「なんか、盛ってた」
「さかってた?」
「あぁ、研磨と穂波?」
「うん、あのふたりエッロいね」
「あー!俺もさっき見た!チューしてた?えっろいえっろい!」
「2人でずっと暮らしてんのに、今もわざわざ盛るもんなん?」
「まぁ、もうすぐ遠距離ってのもあるんじゃない?」
「あー… たしかに。 でもそんなお盛んな2人が遠距離って大丈夫なん?
俺が思うに研磨くんは結構……」
「研磨は結構エロいよね、だし、結構モテると思う」
「あー、Twitterで騒がれてるのちょっと見たかも」
「研磨さ、プロチームから正式なオファーが相当あって。
あとスポンサー着くとかそういうオファーも来てるらしいんだけど、全部蹴ってる。
静かそうに、波立てなさそうに見えて、かなり、破天荒っていうか、型破りっていうか。
……んーと、あれ。 強気、だよね」
「あー、強気、それはわかるかも。あんま研磨くんのことまだ知らないけど」
「あのバレーのプレースタイル見てるだけで、その辺わかるよな」
「チーム所属はまだしも、スポンサー蹴るってのはどういうこと?」
「さぁ? 縛られたくない、とは言ってたけど」
「へぇ、かっけー。 でもその分……」
「自分でやらないといけない部分多いよね。
でも研磨、公式じゃなくて隠れスポンサーは結構いるから」
「?」
「穂波のお兄ちゃんとかおれの父さんとか、まぁ、いろいろ」
「ふーん…… でもあれなのかな、プロゲーマーとしてだけでやってく気はないってことなのかな」
「え、研磨くんトレーダーもやってるでしょ?」
「あ、そっか。スポンサーとかチームとかのしがらみなしで、
その分、株で稼ぐ的な感じか。 すげー、何がすげーってあの淡々とした感じがすげー」
いやほんとに、同い年なのに。