第10章 梅と
ー穂波sideー
右手には小麦粉を水で溶いた液がぺっとり。
左手にパン粉がぺっとり。
そんな状態で研磨くんに深くキスをされて、
研磨くんの綺麗な手がわたしの肌の上を滑って。
いつカズくんたちが来るかわかんないし、
止めなきゃって思っても手がこんなだから研磨くんに触れなくって。
…なんて言い訳がましいか。
ただただ研磨くんの色気に呑まれて。
研磨くんの感触が気持ちよくって。止まれない。
「…ん、ここでしちゃう?」
『わ…かんない。やめたくない』
「…ふ、じゃあとりあえず手洗って……」
あ、うん、そうだ。
とりあえず手を洗って……
「部屋に行くとなると、それ洗ったり、それ冷蔵庫入れたり…するんだもんね」
『…ん、』
そうなのだ。
ここがいい、のはここがいい、ってだけじゃなくて?
ここじゃなければ、すぐにできないんだ。
ここでならこのまま広げっぱなしでも……流れで……
でもここを移動するとなると、ここをある程度片付けてからってなる。
「いいよー俺やっとくから」
「『!!!』」
身体をかなり、くっつけたまま2人でギクってして声のした方を振り向くと、
柱に手をかけて、ニヤニヤしながら立ってる倫ちゃん。
『り、倫ちゃんっ どうしたの?』
「ちょっと水もらおうかな思って」
『あ、ごめん、気がつかなくって… グラスは向こうにある?』
「うん、居間に出してくれてたやつ持ってった」
『…ん、じゃああとで持ってくね。お茶と水とどっちがいい?』
「どっちでもいいよ、どっちでもいいんだけど……」
『………』
「あとで、が信頼ならんわ。エロいことしてから来そうだからここでもらってく」
『なっ 倫ちゃんっ』
いつからいたの。
ニヤニヤ、ニヤニヤ、してる。
「…にしても研磨くんってエロいんだね」
「…ん、別に、普通だよ」
研磨くんはわたしを離して、そして吃ったりすることもなく、
倫ちゃんに普通に返事をする。
ん、別に普通だよ かぁ。