第10章 梅と
ー古森sideー
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桃をみんなで食べて、
たまに梅干しひっくり返したりしながら研磨くん家でゆっくり過ごす。
研磨くんは自分の部屋?に戻って、
穂波ちゃんは俺らを気にかけつつ、
家に残る研磨くんの夕飯を仕込んだりしてた。
ただただ、楽しそうにするその姿に癒される。
不自然な楽しそうな感じじゃなくて。
こぼれ落ちる感じの、楽しそうな感じ。
途中、
「ねぇ、おれゲーム部屋行きたいんだけど2人もくる?」
ってカズくんに言われて。
ゲーム部屋とは?って気になってついて行ったら、
すんごいゲーム部屋が隠されてた。
いや別に隠してるつもりはないんだろうけど、前来たとき何も聞いてなかったから。
「研磨が使っていいよって、2人も入ったら」
あれ、カズくん俺らにちょっと歩み寄ってくれてるのかな、って嬉しくなったところ、
「なに、カズくん。ここでゲームしたいけど、俺らを居間に置いてくのが気がかりだったん?」
って角名が。
「なーんだーそっちかー!」
「……」
「なに古森、カズくんが俺らに懐いてくれたとでも思ったん?」
「いやちょっとね、ちょっとだけ期待はした」
「…で、入るの、入らないの」
部屋の入り口で立ち話をする形になってる俺らに
カズくんは相変わらずの感じでそう聞いてくる。
「はいりまーす。何すんの?何でもありそー」
「…ん、何でもいいけどあんま貴重なのは怖いから」
「そんなのあんの!?」
「なんか、ちょっとずつ集めてるみたいだよ。たまの娯楽に。…まぁいいや、普通に、」
「あ、桃鉄もあるじゃん。 なんか意外」
「へー!桃鉄やろうよ!」
「桃鉄と研磨くんとか全然マッチしないんだけど。基本一人でやる感じじゃないの?
ああ見えて意外と、友達とかのこと考えてソフト買ったりもすんのかな。
穂波がキュンキュンしてんの目に見えるわ。 …ていうか穂波用に買ってたりしそ」
「…穂波はクソほどゲーム下手だから、こういう上手い下手じゃないのは確かに。研磨考えてるかも。
山本クンとか福永クンとかは別に、他のもできそうだもんね」
研磨くんの生態に想いを馳せつつ、桃鉄をやることに。