第9章 aims
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「なぁ穂波ちゃん、今日部屋で寝てくれる?」
『ん?』
夕飯をいただいて、
高一の頃にクロさんたちがくれたロースイーツのお店のケーキを食べようと思って。
お皿やフォークを出してるとクロさんがそんなことを言った。
明日バイトは夕方からだしクロさんは泊まっていってくれるって、それはわーいってなってたんだけど。
…ん? どういう意味?
「俺が研磨と寝たいなーなんつって」
『え?』
「だめ?」
研磨くんの方を見ると、めんどくさそうなうんざりなような、
でもちょっと嬉しそうな顔してる。
……どういう表情?
『え、ダメ!』
「……」
「ダメかぁ〜 残念だなぁ〜」
「なんでダメなの?」
『え、なんで、研磨くんも… その… クロさんと寝たいの?』
「いや、全然」
『…?』
「おい研磨、それじゃあまた穂波ちゃんの妬きもち顔見れねーじゃん」
『…?』
「クロとは寝ないし寝たくないけど、ていうか穂波と寝たいけど、でもなんでクロとねちゃダメなの?」
『…研磨くんの隣で寝るのはわたしだから』
「…ん、正解」
「はぁ…」
研磨くんは満足そうに笑みを浮かべて、わたしの頭をくしゃと撫でた。
そしてクロさんの大きなため息。
『あ、クロさんも研磨くんと寝たいなら…3人で寝る?』
「…ん?あれ?あ、そっちのパターン来た?
なんか誤解されてっけど、じゃあお言葉に甘えてそうする♡」
『うん!研磨くん真ん中で』
「ううん、穂波ちゃんが真ん中で」
『ん? よくわかんないけど… それでいいかな、研磨くん』
「いいかな、研磨くん♡」
「いや穂波それはない。クロはただふざけてるだけだから。スルーしてればいい」
『…あ、そっか、やっぱ研磨くんが真ん中がいいよね』
「いやそういうことじゃなくて。クロは普通に空いてる部屋で布団敷いて寝るから大丈夫」
「えーせっかくのお誘いだったのにー」
「クロ、調子乗らないで」
「へーい。 まぁ穂波ちゃん、冗談なんで!」
クロさんはそう言って、うまそーこれ何?って。
普通に話が変わっていった。
冗談? なんの冗談だったんだろ。