第9章 aims
ー穂波sideー
家に帰ると、研磨くんとクロさんがいる。
リビングでテレビをつけて。
クロさんはそれをなんとなく見てる感じ。
研磨くんは寝転がってゲームしてる。
なにこれなにこれ。 じーんとくる!
「おかえり〜」
「おかえり」
『うん!ただいまぁ』
手を洗って。とりあえず荷物は部屋の隅に置いて。
『ケーキ買ってきたの』
「お、いいねぇ」
『お茶淹れるね』
「いや、まずメシ食いな?」
『えっいいの?』
「当たり前じゃん。ケーキは一緒に食べさせてもらいます〜」
そう言ってわたしの手からケーキの箱をそっと取り上げて、
クロさんはキッチンへ向かって歩き出す。
冷蔵庫に箱を入れて、なんやらかんやら支度をしてくれるのをまたまたじーん…ってしながら見つめた。
「なになに、そんなに見つめちゃって。 惚れなおした?」
『うん、クロさんがうちにいるの嬉しい。
それから普通に台所にいるのたまらなく嬉しい』
「うんうん、研磨じゃなくて俺にしてもいいんだよ?」
『…ふふ …わぁ〜おいしそう〜♡』
トレーに乗せて、わたし分のお膳が目の前にとんっておかれる。
クロさん、こんな感じなの?
器に装って、お茶も一緒にトレーに乗せて。
はいどうぞ、って出す感じなの?
コーヒーとかも、豆から挽いたりしてるの…?休日限定で……とか妄想が膨らむ。
ピーマンの肉詰め、茄子の味噌炒め、冷奴、枝豆、冷やしトマト、ごはん。
「わりぃ、味噌汁作ろうと思ったんだけど、出汁の取り方わかんねーからなしにちゃった」
『あっ、ごめんね』
「いや謝るとこじゃねーから 笑 今度はもっと使いこなせるようになっとくわ」
『…ふふ いつもは粉末のやつ?』
「そうそう、洋風スープも中華スープもなんでも粉末だわ 笑」
『うんうん、すごいなぁ!』
「いや感動するとこがよくわかんねーけど 笑 まぁ、食べて食べて」
『うん! クロさんありがとう! いただきます』
レンジで温め直してくれたもの、よーく冷えたもの。
クロさんの愛情ご飯を、一口一口味わっていただく。