第9章 aims
ー黒尾sideー
「どういう意味ってどういう意味?」
いや俺、なに想像してんだよ……
最近ますます増してきた研磨の色気と、
なんつーの?チャラさはねーんだけど、独特の軽さが相まって……
妙にこなれたプレイボーイ感があってだな……
彼女が留守の間、一緒に住まない?
みたいな、いや研磨はマジでビビるくらい穂波ちゃん一筋っつーか、
それ以外論外っつーか、アウトオブ眼中だから、マジであり得ないんだけど、
なんかな、そういうあっちは微塵も出してもいないニュアンスをこっちが勝手に作り出して受け取っちまった……
いや研磨は可愛いとこあるし、男をくすぐる表情とか仕草もするし、
髪とか目とか肌とかいちいち綺麗だけど、そういう気を起こしたことは一度もねーんだわ、俺。
…いや、ムラっとは何度か、あるけど、
俺らはっていうか研磨は別に戯れ合うような感じじゃねーし、
そのムラっとの具合も別にしれてるだろ。
なのにそんなふうに受け取って、挙句、クロもありかなって、
なんつーかそっちもいけちゃうみたいにとってきょどったよな。
いや我ながら意味がわからん。
「いや、それはその…… クロもありって普通にどういう意味?」
「あー… それは、穂波とかしか一緒に暮らすとかあり得ないし想像つかないって思ってたんだけど。
あ、クロも別にありじゃん、って思っただけ」
「飯担当?」
「別に。 おれ穂波をご飯係だとか1ミリも思ってない。
穂波のご飯は毎日食べたいけど」
「…そうだわな。 そんでちょいちょい挟んでくる、こぼしてくる、そういう惚気な」
「ただなんとなく、思っただけ。
でもそうだよね、穂波が帰国するからじゃあさよなら、とかなんかそれもね」
「いやそれが他の女とかなら問題だけど。
普通にあるんじゃね?シェアメイトっつーの?期間限定だけど、入居者募集的なそれはありだろ」
「ありかもしれないけど、おれにはないや。ただクロなら、別にいいかなって思っただけ。
でもクロ、困ってるわけじゃないし、学校遠くなるし。
家賃とか光熱費ははいらないけど。それくらいしかメリットないかもね」