第9章 aims
ー研磨sideー
なんか、クロ怒ってる。
高校のとき、一回ナカで出しちゃったときは怒ってなかったのに。
まぁ、それもそうか。
おれ今なんか、すごい、ケセラセラ感っていうか。
それはそれで別にクロは嫌いじゃないだろうけど
これに関しては、おれがそれなりにお金も持ってるからちゃんとしろみたいな。
「はぁ…もうちょっと説明くんね? 見当違いで捲し立てたくねーわ」
「説明したら余計にため息つくと思うけど」
「いいから話せ」
それで、説明しうる起きた出来事を話した。
おれがみた夢のこと。起きたタイミング。
穂波がみた夢のこと。起きたタイミング。
それから、つけた方には覚えがないのにつけられた方にはしっかりと記憶にある傷。
おれのはそれでも、口の中と外くらいだけど。
穂波の胸元のは結構エグかったこと。
おれの歯と顎でできるとは思えないこと。
で、さっきの
「…はぁ …意味わかんねぇ」
が溢れたってわけ。
「わかろうとすると、わかんないよね」
「…」
「でも、起きたわけだし、
こんなこともあるんだなって落とし所見つけるくらいしかできないっていうか。 そんな感じ」
「…怒ってわりぃ、研磨が意図的にナカ出ししたにもかかわらず、
ヘラヘラしてんのかと思って結構幻滅しかけた」
「…別に、それは仕方ないけど」
「…いやでもまぁ、その異次元話はもうあれだな、研磨も穂波ちゃんに引っ張られてんな的な。
そのくらいで済ましておくとして…… 2週間後?結果次第でどうするわけ?」
「国立に残るか、アメリカ行くかどっちか」
「は? え? あ、おろす的な?」
「は? え? あ、違う。 穂波なら病院も英語でいけるだろうし。
穂波が望むならアメリカに行けばいいかなって、おれも一緒に」
「…大学は?」
「親には悪いけど、休学か。辞めるかする。
休学って言ってもね… まだ大して単位も取ってないし。まぁ、普通に辞めるかな」
「研磨が?」
「うん、別に普通でしょ」
「別に普通かね」
「おれの場合は普通じゃない?
お金、ないわけじゃないし、大学卒業が鍵になってくるわけでもないし。自分次第っていうか。
もちろん早急にやることはそれなりに出てくるけど」