第9章 aims
ー黒尾sideー
穂波ちゃんもあと1ヶ月もしないうちに渡米しちゃうし。
大学生組は夏休みなわけだし、送迎会でも開かね?みたいな。
あとはまぁ、普通に合宿に顔出したあとの2人のムラムラっぷりが尋常じゃなかったから、
気になったのもあって、今日の夜はバイトねーし、訪ねてきたわけだけども。
とりあえず、本題の送迎会の方の話を振ったら、
「…あー、うん。 うちで? まぁ、いいけど、穂波喜ぶと思うし。 でも……」
「………」
家でやるってことにはそんなに苦い顔しなかった。
こいつはほんと、穂波ちゃんが喜ぶってことに甘い。
それもあって、前より色々ほぐれてきてることも多々あるんだけどな。
でもなんだこの感じ。
言う気なかったこと、言わなきゃいけないじゃん…… みたいな空気がひしひしと。
「もしかしたら… んーと」
「は? 妊娠?」
「え?」
「妊娠したから渡米やめますとか?」
「いや、まだ決まってない」
「…まだ、ね …は?」
否定するとこそこ?
いやまぁ確かに研磨、お前はもう大金手にしてるし、
お前ならそれをさらに増やしていくことを金の亡者的な感じじゃなく、なんつーか。
ゲーム感覚でやってくんだろうな、上手いこと、ってのは、目に見えてる。
そんな簡単なことじゃねーかもしれんけど、でも研磨ならっていう確信はある。
けども、だからこそ? 順番ってもんがあるんじゃねーの?
妊娠してたら、こうする。してなかったら今まで通り、とかそういう。
そういうガキっぽい感じでことをすすめてく感じじゃねーんじゃねーの?
高校の時のそれとは違うだろ、俺はお前をそんな男に育てた覚えはねーぞ……
じゃねえけど、それに近い感覚。 研磨に感じる初めての違和感と不信感。