第9章 aims
研磨くんはちょっと、むすっとした顔をしてる。
かわいい。かわいい。かわいい。
『傷パワーパッドにする。研磨くん、貼ってくれる?』
「…ん」
これかな、なんて軽く箱にある実寸サイズを合わせみてから開封する。
それからもう一度、中身を合わせて……
「おれも、痕つけたい」
『…?』
「でもこんな深いの、無理」
『…ん』
「………」
『研磨くんはわたしじゃない人と夢の中でしたの?』
「え?するわけないじゃん」
『サキュバスは違う人?』
「ううん、サキュバスだけど穂波のままだった」
『ん、研磨くんも一緒だったよ。悪魔らしいとこもあったけど、研磨くんだった。
甘い甘い、研磨くんだった』
「…ん わかってるけど、ちょっとずるいし、ちょっとムカつく」
『…悪魔に?』
「ん、淫魔に」
『…ふ 研磨くん、だいすき』
かわいいかわいい。すきすき。
研磨くんがペタッと貼ってくれて、それからたっぷりとキスをして。
身支度を整える。
11時過ぎ。 流石にお腹も空いてきた。
何食べようかな、とか考えながら、研磨くんに選んでもらった、買ってもらったワンピースに袖を通す。
髪の毛は巻いたりできないから、フィッシュテールに編んで。
リビングで待ってる研磨くんの元へ。
どこにいても、何をしてても、何を着てても。
わたし達はわたし達で。
研磨くんはこの立派なリビングでいつもの様子で、ゲームをしてて。
あー愛おしいなぁって。
夢の中で、そして現実でしてしまったこと。
あはは、で済ませていいことではないし、済ませてないつもり。
ちゃんと話し合ったし、今も頭の、心のどこかで考え続けてる。
国立で。 カリフォルニアで。
まだ確定はしてないけど、結果が出てからの決断はかなり早急なものになるから。
イメージを膨らませながら、現実を見据えて。
しっかり、考えたいなって思う。
研磨くんが当たり前のように目の前に広げてくれた、有難い選択肢を。
限られた時間の中で、じっくりと。