第9章 aims
ー穂波sideー
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「…消毒しないと? あれでも前、白布クンにしてもらった処置って……
今からでも間に合う? 傷残るのは……」
色々なことを端折って仕舞えば、
どうも研磨くんが付けた傷らしいと研磨くんは考えて。
傷が残らないようにと、あばあばしてる。
…きゅん。
『…消毒は多分いらない。余計やけどしそう。
シャワーで一応流しとく。あとで、貼るやつ買えばいい。 …それに』
「それに?」
『研磨くんの噛み痕なら残るくらいが嬉しい』
「………でもおれ記憶にないし」
『わたしはしっかり覚えてる』
そもそも、普通の歯じゃこうはならないだろうけど。
そんなこともあるんだね、くらいにしておかないと訳がわからなくなる。
不思議なことって、たまに本当に、起きるから。
「…ん。 あと、赤ちゃん」
『ん、赤ちゃん』
「おれは、前と一緒。
今なら前よりもうちょっと親に頼らずできると思うし、その程で進めてくから、んと……」
『うん、わたしも。予定いっぱい変更して色々なとこには迷惑かけちゃうけど…
もしやって来てくれたなら、うん… その子に会いたいなって思う』
「…ん、でもおれが一緒にアメリカ行くって手も… あるかも」
『え?』
「妊娠出産があるからって、環境を予定を、状況を変えるべきなのは穂波である必要なくない?
そりゃこっちにいるにしてもおれも養えるように色々、進めてくから全く変化がないわけないけどさ」
『………』
「1ヶ月後とか結構急だけど… 仕事はどうにかするし。そもそもどこでもできることだから、あとは安定させる。
大学もどうにかする。 だから、妊娠しながら…… あ、体調とかもあるからそんな簡単なことじゃないから、
そうしろって言ってる訳じゃないけど…… んーと、次の夏休みまで穂波大学行けたり…するのかなって」
『………』
研磨くんはほんとどうして、いつもいつも。
スマートでそして、こんなにも時代に沿った考えをするんだろう。
何度でも、何度でも恋に、落ちてしまう。