第9章 aims
ー穂波sideー
電車から降りて。
ホテルへの道。
あっという間でなんだか足りなくて。
ちょっとこのままあるこっか、って、夜の東京の街をぷらぷらと歩いた。
途中コンビニで、忘れちゃいけないってコンドームも買って。
研磨くんのこの身体のどこにそんなエネルギーがあるんだろうってちょっと不思議になるけれど。
しっかり欲のある研磨くんがすきだな、って思う。
「春に、アメリカ行くね」
『ん?』
「今からそんな約束必要ないかもだけど」
『………』
「春休み、穂波に会いに行けるように調節してこうと思う」
『…ん。 嬉しい。 ありがとう』
「もうすぐだね」
『ん』
「穂波が楽しそうにしてるのが好きだけど」
『………』
「寂しいって思ってくれてることも、あと翔陽にヤキモチ妬くことも ……正直嬉しい」
『………』
「まぁいいや。 すきだよ、穂波」
『ん、ありがとう。 わたしも、大好き』
「…ん」
ゆっくり歩きながらそんな、話にもなった。
・
・
・
ホテルに帰ってきてエントランスをじっくり味わって、エレベーターに乗る。
昨日は2人きりになれなかったエレベーター。
今日は他にお客さんもおらず2人きり。
目があって。
間があって。
そして、だんだん距離が近付いて。
優しく、唇が触れる。 わたしの、唇に。
まるで昨日の続きかのように。
いややり直しかのように。
あんなにたっぷり繋がったのに、
昨日と同じくらいの欲求が押し寄せる。
欲しい、欲しい、欲しい。
舌を絡め、唾液を絡め。腰を寄せて。
エレベーターの中で深く深くキスをする。
一言も言葉を発さず、深く。甘く。
それだけでもう、お互いの身体は準備万端。