第9章 aims
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ご飯食べて、洗い物して。
福永が作業するのをぼんやり見ながら過ごしてると、
『ただいまぁ』
穂波がひょこっと顔を出した。
一度母家に帰ってからこっちに来たみたいで、昼ごはんを手に持ちながら。
「「おかえり」」
『ただいま、ただいまぁ!』
おれと福永の声がそろって。
それが嬉しかったのか穂波は交互に顔を見ながら、ただいまを2回言った。
それから、そう、穂波はあの目で、あの顔で。
福永の作業する手元を見ながら、カオマンガイのランチをゆっくり食べた。
ほわほわの顔で。
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「お待たせしました」
『あぁ〜美味しそういい匂い〜♡』
福永が豚肉とミントのサラダを持ってきた。
「うん、美味しいよ。食べて」
「『ん、食べる。いただきます』」
「どうぞ、どうぞ」
あの時ただいま、と言った時の穂波の真似かな、
そろったおれと穂波の声に反応するように、
おれらの顔を交互に見ながら、福永は どうぞ を2回言った。
それからいろいろが運ばれてきて。
ブイヤベースにはバゲットのスライスがついてたから結構お腹膨れたけど。
やっぱカオマンガイも食べておきたいね、ってなって、食べることにした。
「休憩。俺もここ座っていい?」
カオマンガイとあともう一皿を持って福永が来た。
『もちろんだよぉ』
机の真ん中にカオマンガイを。
それからまかないの乗った皿を自分の前に置いて福永はおれの隣に座る。
「こっちも食べてみる?カオマンガイトート」
『えぇ…いいの? 食べたい……』
「いいよ、多めに作ってくれた。 孤爪も…」
唐揚げみたいな鶏肉が乗ってるそれを食べてみると、
なんか、すごいおいしくって。
揚げ鶏か、とか思ってたけど。
うまいものはうまい。
あと、一緒に食べる人も大事、とか思う。