第9章 aims
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『…やだ 研磨くん、かっこいい…… 似合う似合う…』
柱にもたれて立ったままゲームしてるおれのとこに、
支度を終えた穂波が来てそんなこと言うけど。
…なんで、そんな髪してるの。
いつもおろしてるか、一つにまとめてるかなのに。
和装の時はちょっと違うけどでも、一つにまとめてるのは一緒なのに。
今日は上から半分はネジネジしてて、
下半分は下ろしたままみたいな髪型してる。
さっきまでラフにお団子にしてたからか、
おろしてる髪の毛もゆるゆる動きがあってかわいい。
おれが選んで買ったワンピースってだけでもチョット浮かれるのに。
アクセサリーも全部そうだし、その上こんな風にかわいくされると困る。
『お待たせしました。いつでも行けるよ』
「…ん、穂波すごいかわいい」
『…ん、ありがとう。 かばんこれでいいかなぁ? 持たない方がいい?』
穂波は昨日、いつものノースフェイスのウエストポーチを肩がけしてたんだけど。
その中に入ってたのかな、生成りの小さなトートバッグみたいなのを持ってる。
『畳んで入れてたからおりジワあるけど… せっかくのワンピースがあれかなぁ』
「ううん、全然。かわいいから大丈夫」
…なんか全然説得力ないこと言ってるけど別にいいよね。
実際可愛いし、おかしくないし。
待ち合わせたり、一緒に家を出たり、何度もしてきたけど。
なんか、今回はちょっとパンチあるな…
せっかく綺麗にしてるのに乱しちゃいそうになる。
帰ってくるまで我慢、我慢……
「行こっか」
福永のバイトしてる店へと向かう。