第9章 aims
ー研磨sideー
ホテルに戻ってきたらベッドにシワひとつなくなってて。
シャワーを浴びてバスローブを纏って、
買ってきたケーキを皿に出して紅茶と一緒に食べてから、
2人でぼすんっと躊躇なくダイブした。
買い物って疲れるね、でも楽しかったね、とか言いながら。
バスローブに汗ついちゃうし邪魔だからって、自分のを脱いでおれのも脱がせて。
薄いタオルかけて肌を寄せながらごろごろしてるうちに寝てしまった。
・
・
・
どんな上質な寝具の上でも。
完璧な室温、快適な湿度でも。
「…だる」
『…ん』
夏の昼寝から起きたあとのこの感じは変わらないらしい。
水筒の水を飲んで、ぼーっとしながら座って。
あーだるいなーってまた寝転がって。
だらだら だらだら。
取り込んで畳んでしまう洗濯物もない。
洗って乾かしてしまう食器もない。
夕飯の仕込みも、明日の朝食のことも考えなくていい。
福永のとこには18:30に予約入れてて、
ここから東西線で30分くらいでいけて……
今17時前だから…
そろそろ動かないとか。
「シャワー浴びよ」
『…ん、さっぱりしよ。 …福永くんところ楽しみだな』
「なんでもあるらしいよ」
『…なんでも♡』
昼が意図せずして軽くなって。
そのあとケーキは食べたけど、多分、結構食べれそうだなとか思いながら支度をする。
「どれ着たらいい」
今日着る服選んでもらうとかなんか…いつもしないからおもしろい。
『んー… んーとねぇ、こっち♡』
「ん」
くすんだカーキのTシャツと黒いパンツ。
「穂波はオレンジのやつ、着て」
『うん!』
穂波はいつの間にか下着を買ってたみたいで。
みたことないのつけるんだな、とか思いながら準備色々あるだろうし、
穂波のとこから離れる。