第9章 aims
ー穂波sideー
研磨くんがマーガレットハウエルに入るって行った時、
頭をごんってされたような衝撃が走った。
すっかり抜け落ちてた。
絶対研磨くん似合う…着心地も、色味も、形も。
その衝撃たるや。
こんな風にお買い物するなんて次はいつあるかもわかんないのにっていうなんだろね、これ。
そのくらいの衝撃だった。
でも、研磨くんもわたしが選ぶことを楽しんでくれてて、
且つやっぱりこのお店、気に入ったみたいで。
選んでくれるの?っていうものだから、喜んで一つ上の階に登ってきた。
あれもこれもそれもどれも着せてみたい衝動を抑えて、
いっぱいハンガーにかけたまま合わせて。
実際に着てもらったのは数着ほど。
そして決めたのである。
『これにする。これに、…する♡』
リネンのプルオーバーシャツと高密度の打ち込みのコットントラウザーをロールアップして。
どっちもブラウン、焦げ茶寄りの、濃いブラウン。
同色コーデもよき。 たまらん。
ズボンずれる…ってことで、艶消しされたマットな質感の黒い革のベルトも。
「…ん じゃあ、脱ぐからそこ離れて」
あんまりかっこよくて、なんども一緒にフィッティングルームに押し入りそうになった。
ここでも、さっきまで行ったお店でも。
脱がせたい着せたい。みたいな。
でも実際そんなことしたら、それだけじゃ済まなくなるのは目に見えてるから。
『…ん』
「…笑」
大人しく後ろに下がる。
いっぱい試着して疲れただろうなぁ〜。
今帰れば、ホテルでゆっくりしてお昼寝もしてってできる。
地下でケーキ買っていくのもいいな。
ルームサービスもできるだろうけど、買い食いってのもだらけた感じがしていい。
それに、地下で2人分のケーキを買うくらいわたしも出せる。