第9章 aims
ー穂波sideー
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12時を回ってるけど朝食たっぷり食べたしまだ平気だねって。
ショッピングを続行。
わたし達の価値観が今日で崩れることはないと思う、妙な確信があるから。
こんな日を楽しめる。
だってわたしたちの家は、国立のあの家。
研磨くんが選んだ、あののどかでこざっぱりしてる古い日本家屋。
「穂波、おれに服選んで」
『ん?』
「さっきそう言おうと思ってたんだけど、入ってみたらしっくりこなくて」
『あぁ、うん』
ボッテガのウェアはかっこいいけど確かに研磨くんっぽくない。
シンプルなのなら普通に似合うだろうけどきっと、
捻りの効いたものが目についたんだろう。それでしっくりこない、ってなったんだ。
「アキくんが着てたりするのかなって思って行ってみたんだけど」
『お兄ちゃんもバッグとシューズ類だけかも基本。シャツとかボトムも着てるか。
じっくり見るとねきっと、研磨くんも好きなのあると思うよ』
「…ん、なんか他にある?」
『今日、着る服?』
「それも、おもしろいかなって思ったけど。
福永のとこ行くのに変じゃない程度にカジュアルなの」
『I’m in!』
「…?」
ぶわぁぁぁって、脳内着せ替えが始まる。
研磨くんで着せ替えは無限…
いつもの、今みたいな格好大好き。
シンプルで、ちょっとストリートっぽくって、機能性も高くて、
そしてサイジングがばっちしなの。
んーーーーー
グッチでなんだけどカジュアルなラインのやつで、
ポップなロゴが入ってるのとかもきっとかわいい。色もポップな感じにして。
研磨くんの雰囲気とのバランスが…かっこいい。
プリーツプリーズでオールブラック、シンプルモードな感じも鼻血……
やば… あ、やばいかも… 研磨くん×イッセイミヤケ
はたまたジョセフの柄シャツとか、
あ、APCのシックで清潔感ある感じとか……
「穂波?」
『あ、ごめん、妄想の世界に……』
「…?」
とりあえず三越に入ろっか、ってなって。
それから気付いたらマルジェラに吸い寄せられるように足が動いてた。