第9章 aims
ー研磨sideー
だめだ、もうそろそろ朝食が来るのに。
穂波に触ってたい。
ひとしきり笑って、それからちょっと見つめ合いながら沈黙があって。
そのあとはやっぱ……
キス。
最初は触れるだけ。
でも少しずつ深くなって、角度を変えて何度も。
脚の上に跨るように座らせると、
穂波はおれのバスローブの胸元をぐって開いて直接肌に触れる。
おれも穂波のバスローブの胸元をひら…
「失礼いたします」
ぜんっぜん気付かなかった。
ワゴンのタイヤがエントランスの床の上を転がる音ではっとする。
「………」
『…あ、あっ、あさごはん』
おれちょっと今立てないし。
えーでも穂波にそんな格好で行かせるの、とか悶々としながら。
あ、でも…別に行かなくていいのか。
寝室にいるおれらに構うことなく、ダイニングの方に向かっていったし。
…だからってこのまま続けていいわけじゃないし、
早く乱れたとこ、直しとかないと。
お互いバスローブだけど、それでもまぁ、だらしなくないようにささっと整えて。
ふふって笑って、キスをして。
おれはゲームを。
穂波は窓辺の縁側みたいなとこに座って外の様子を見てる。
そうこうしてたら準備が整った、って言われて。
お礼を言ってそれから穂波が、一瞬慌てた。
「?」
『あ、ううん。チップ渡しそびれたって思ったけど、ここ日本だった 笑』
「…あ、そっか。 チップ、か」
おもしろい、文化だなって思う。
出来高性みたいな。それから運とか相性もあるだろうし。
楽しんでやってたら付随してくるものがある感じが、おもしろいなとは思う。
おれは気の利いた会話とかできないから、不向きだろうけど。
穂波は向いてるだろうな、とか。