第9章 aims
ー研磨sideー
『うん、楽しそう。そうしよ』
くしゃって笑って。
穂波が言う。
一つも無理してなくて。
一つも嘘がなくて。
一つも、乾いてない。
穂波はそう、乾いてない。
自分で自分に水をやってる。
だからなんだろ、greedみたいな感じがない。
おれをいっぱい求めても、気持ちいいをいっぱい求めても、
海を、風を、太陽をいくら求めても、乾いてないから。
何だろうな… 穂波のもっと欲しいは、健全で、何も壊さない、そう思う。
「やった。 じゃあ、バブリーなおれらしよっか」
『(仮)つけとこっか』
「ふは… 笑 そうだね、明日の福永んとこはバブリーに行きたくないし、
そう、そもそもまだちょっと額の大きな臨時収入程度だから」
『…ん、研磨くんのもっとは、濁りがなくて純粋で。 見てて楽しい』
「ん?」
『ん、研磨くんのことがすきですきですきですきで、だいすきとしか表せないくらいすき』
「ん、わかった。知ってる。 それからおれも、一緒」
『…ん、一緒』
額を合わせて。キスをして。
3度も重なって、ベタベタな身体のまま肌を寄せて。
いい加減もう、眠い。
とっくに1時は回ってて。
このまま寝るのもなんか、自堕落な感じがいいかも…
たまにはおもしろい…
『…ふ、 研磨くんしょっぱい』
おれの胸元に顔を埋めて小さく舌を出して肌を舐めて。
穂波がクスりと呟く。
「…穂波もしょっぱい」
穂波の肩を舐めて、返事して。
くすくす笑いながら眠りに落ちていく。
どこにいても、そこがどんな場所でも、おれらって変わんない。
多分これからもきっとずっとだ。
思いがけず、そんなことを経験を持って知った、今日、今この場所。
目的ってやっぱ、いくつかあっていいしそれに。
後付けでもいいじゃん、って思う。