第9章 aims
ー研磨sideー
『…ん、一生いる。 一生……』
おれまたちょっと暴走してるけど。
この際もうどうでもいい。
そもそも穂波が欲しくてしょうがなくてここに泊まってる時点で、
すでに暴走してるんだし。今更だ。
一生おれといてとか、それってまるでもう… あれじゃん。
だいぶフライングしたな… でも謝ることでもないし。
「…ちゃんとは、またちゃんと言う。 でもおれ、穂波のこと一生かけて大切にする」
『…け…んまくん』
「………?」
『すき すき、大好き。 すきだよ、研磨くんのこと、大好き』
「…ん」
穂波の目がうるうるしてる。泣きそう?
泣きそうなのを堪えるようにすきを連発してるけど…
なんで泣きそうなのかはわかんない。
「…はぁ、かわいすぎて」
『……すき』
おれにぎゅうと抱きつきながら、
鼻をぐすぐす言わせて小さい声ですきって言ってる。
「やっぱベッドにいようかな」
『欲しい』
「…ん、いくらでも、あげる」
部屋みようか、風呂入ろうかって言ってたのに。
ベッドの上で時間が過ぎてしまいそう。てか、それで満足しちゃいそう。
夜景も豪華ないろいろも、穂波と肌を寄せることほど魅力はない。
…まぁ確かに、あの窓に手をつかせて後ろからとか… ちょっといいなとは思うけど…
今日はもういいや、おれらはどうしようもなくだらけた欲張りだから。
こんな贅沢な部屋の中、ここで、ベッドの上だけで。
愛し合う。
…あいしあう?
やば… おれ何考えてんだろ。
あいしてるもまだ早いのにあいしあうとか……
この空気にちょっと酔ってるのかな、と思って、自分に引いた。
そんなおれを不思議そうに見つめてそれから、
穂波はもぞもぞと布団の中に潜り込んでいく。
おれの、脚の間に向かって。