第9章 aims
「あだっ 穂波ちゃん おおおおおおおおおれっ……」
『やだもん離さないもん』
「ちょっと、どうしたの穂波」
『すき』
「えっ ちょっ おれいらないでしょここに!」
「ん、おれも」
翔陽くんに抱きつかれたまま腕は下げてた研磨くんの手が、
わたしの腰に触れる。
翔陽くんが間に挟まってるからいつもより深くはないけど、研磨くんがぎゅってしてくれてる。
「あだだだ……」
「ぅわ、ちょっと重た… クロ助けて」
翔陽くんの力がへなと抜けて、研磨くんにしなだれかかる。
「きみたち、やりすぎですよ。なに、穂波ちゃんヤキモチ妬いたの?」
『え?』
「え?」
翔陽くんの身体をよいしょと、
自身の身体に預けさせるようにしながらクロさんが思いがけないことを言う。
『…ずるいって思っただけ』
「チビちゃんに?」
『…ん』
「なんで」
『だって研磨くんの顔がほっくほくになってるから。ずるいって思った、ちょっと』
「…ふ かわいい」
『かわいくないし、それに…』
「それに?」
『邪魔しないでおこうって思えなかったの。だからわたしも混ぜてってなったの』
「毎日家でくっついてるのに」
『それとこれとは別だったの』
「それとこれとは別だったの? …ふ」
研磨くんは心底おもしろいといった様子で。
でもどこか嬉しそうに、わたしの顎を指ですりすりと撫でた。
「家、帰ろっか。帰りたくなっちゃった」
『…ん、そうだね、みんなもお風呂いかなきゃ』
「いやいやいや君たち、今の流れで堂々と家帰ろうとかほんと…」
「…けけけっ研磨っ」
「わ、びっくりした」
翔陽くんが意識を取り戻して?、研磨くんの名前を呼んだ。
「おっおれはっ そのっ 穂波ちゃんのやわらかいとこっ とか… 触ってねーから!」
「え?」
「ブハッ…」
「いやだからそのっ…」
「ちょっと日向、もう喋らないでいいから」
「…ふ 笑」
わたしの柔らかいとことか、触ってない…
触ってないけど…