第9章 aims
ー穂波sideー
『だからってわけじゃないけど、
夕くんも幸郎くんも目的を持って日々を過ごしてて。
目的を持ってひとつひとつを選択してて。
その全てが、それぞれらしくて。
でも硬くないの、2人とも柔軟なの。
かっこいいな、って思う』
あぁ、言葉にすると途端に陳腐だ。
わたしも研磨くんや京治くんみたいに、
端的にスマートに言葉で表せるようになりたい。
「西谷と昼神を同じ括りにして話すっていうのも斬新だね。
でも、言ってる意味はわかる気がするよ」
『京治くんありがとう』
それは、京治くんの読解力のおかげです。
『だからやっぱりとにかく、夕くんは夕くんだったし。
幸郎くんは幸郎くんだった。そして、2人とも最高にかっこよくてそれから…』
「それから?」
『次会うのが楽しみだなって思った!』
「おー!それいいね!それ、いいな!おれも、そう思われたい!」
「……翔陽はずっとそうだよ」
研磨くんがボソッと小さな声で本音を。
「えっ!?研磨今なんて言った!?」
「伸び代がありすぎて次会うときどうなってるかは確かに気になるって言ったんじゃない?」
「そんな長くなかっただろ!悪意をいい加減ひっこめてください!」
「翔陽は、いつも、おもしろい」
「研磨!」
「…ん」
山本くんが抱きついたら嫌そうな顔するのに。
翔陽くんが抱きついたら、嬉しそうな顔してる。
ゲームの時とも違う、なんか、初めてみたこの表情。
きゅん。
そしてすこし… ずるい。
「わ」
「えっ ちょっ 穂波ちゃんっ」
『んーわたしも混ぜてー 翔陽くんだけずるいずるいずるい』
いつもは2人を邪魔したくなかったのに。
今日は、今は、邪魔したいっていうか… わたしも!ってなった。
だから、研磨くんに抱きつく翔陽くんごと、抱きついた。
「あぁ〜 日向がバグる」
「穂波ちゃん、ちょっと、相手は選ぶべきでは?」
「ほら俺のとこにおいで〜」
誰かとハグがしたいんじゃないもん。
研磨くんのその顔、わたしも欲しくなっただけ、だもん。