第9章 aims
ー研磨sideー
『夕くんはね、夕くんは… 夕くんだったよ』
…笑。
まぁ、想像するのすごい簡単だけど。
みんな夕くんのこと気になって、翔陽以外の人たちも集まってきてたのに。
うっとりした顔で少し考えた末に、それって。
「だよな!ノヤさんはノヤさんだよな!」
「…ちょっと日向、流石に今のでオッケーにするのはどうかと」
月島がやや困惑気味に言う。
「だってすっげーわかりやすいじゃん!」
「俺はわかんねー」
「影山くんはもうちょっと想像力を働かせたらどうですかー!」
「あぁ? じゃあどうわかったんだよ、お前説明できんのか」
「ノヤさんはノヤさん!それだけだろ!」
「それだけでいいのかよ、何してた、とかこれからこういうことするつもりなんだとか、
こんな場所にいた、とか そういうの要らねーのかよ」
「…珍しく王様がまともなこと言ってる」
「でも影山もユース合宿のあととか感想一言くらいだった記憶だけど」
「西谷はいつまでバイトしてるって?」
あーだこーだ言わずに、穂波にストレートに質問をするのは赤葦。
滞ったものを流したりすることを、赤葦は基本は普通にやってのける。
『あ、えっとね、ほんとは2ヶ月分くらいのお給料もって海外に行きたかったみたいなんだけど。
それも無責任だしあり得ないから今シーズンはいるって。11月くらいまで、かな?』
「今シーズン?」
『冬は閉める小屋だから』
「なるほど。今後のこととか話してた?」
『ううん、未定だって。でも仕事できる国と
ボランティアできる国とを順番にじゃないけど周りたいって言ってた』
「へぇ… なんか、想像できるな」
『ね』
「ほら、やっぱりノヤさんはノヤさん!!」
「ちょっと、今の会話をそんな拙い日本語でまとめないでくれる」
「なんだと月島!」
烏野が、じゃなくて翔陽が賑やかだな…とか思いながら。
でもそれを挑発してるのは月島だから、月島も当事者か、とか。
そんなの言ったらすごい嫌な顔するんだろな。