第9章 aims
「…あぁ、噴水のとこで? したけど、それが何か?」
「くっそ、ケロッとしてやがる!もっと、やべ!見られてた!ってなる月島期待してたのに!」
「月島の彼女かわいいな!ちょっと意外な感じもあるけど」
「…意外?」
穂波さんはいいよいいよ、ここからはみんなの思い出とか言って、
動物園の前でわかれようとしてたけど。
班の友達がいやむしろ一緒に駅まで歩いたほうが思い出になるから!とか言って、
結局駅まで一緒に歩いた。
僕らは京浜東北線、穂波さんは山手線。
改札の所でハグをして別れてから、班のやつらが話をし出したってわけだ。
「なんか月島って色素薄い感じだから、イメージ的に隣に並ぶのも色素薄い感じの子っていうか」
「けど日焼けした肌、明るくて無邪気ででも大人っぽくてそれから……」
「「「「エッロい!!」」」」
「あれは、エロい。なぁ、エロいんだろ?」
「でも嫌味がないエロさっていうか、そんなこと女子が言ってたけどわかるよな」
「うん、あれは天然のエロさ。えぐみがない」
「…なにそれ何評論?笑」
「いやでもわかる、えぐみがない!なんていうかヘルシーエロ」
「ヘルシーエロって 笑 語彙力の残念感半端ない」
「そっかー月島はいろいろ教えてもらってんだなー くっそー 俺も東京に彼女欲しー!」
そんな感じで下世話な話が繰り広げられてたけど、
それから彼女って勘違いのまま、僕も訂正しなかったけど。
(だって説明めんどくさいでしょ。彼氏がいるけどキスとかしちゃってて…とか)
穂波さんの与えるイメージは、そりゃ受け取り方やアウトプットの仕方に個性はあれど、
大体一貫して一緒で。 そしてそれが妙に、嬉しかった。
万人受けが良いわけではないけど。
でも万人受けして。
でもその万人の知らない顔や一面も僕は他の人よりは多く知っているんだと思う。
家族や昔からそばにいる人、それから孤爪さんの比にならないのは承知してるけどでも、
きっと僕しかしらない一瞬もたくさんあるんだと、そう感じた。