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【ハイキュー】 続・波長 【孤爪研磨】

第9章 aims









どちらも記憶に残っているけど、一つ挙げるとすれば。
やはり合宿以外で穂波さんに東京で会った修学旅行の時だろうか。










──10月末に春高予選を終え、春高進出を決めた。
11月の頭、3泊4日の修学旅行。滞在先は東京駅近くのホテルだった。






1日目はチェックイン後に希望の進路別に分かれた団体行動。
進学先とか学部、という括りではないのでまぁ、面白そうなところに行く、という生徒も多かったと思う。

僕は迷わず上野、美術館・博物館コースにした。
そして生徒から多数決をとり、東京都美術館か国立科学博物館のどちらか多い方に行くというものだった。

そして、まぁ、たしかに。
たしかにウフィツィ美術館展は宮城にいる僕には貴重だし興味深いと思った。

でも国立科学博物館のあの… あの…充実度と比べれば、
美大生や美術に通じてる人間ではなく、修学旅行で行く普通の高校生の感覚ならば
美術館より圧倒的に博物館に票が入ると踏んでいた。

だがしかし結果は美術館に表が多く入り、1日目は東京都美術館ないしその近辺で時間を過ごすことになった。




翌日2日目は自由行動なのだけど、僕が割り振られた班の女子たちが上野動物園へ行きたいと言い。
パンダが見たいとかどうとかで… 僕が1日目に上野に行くことなんて完全に無視で上野観光が決まっていた。





その旨を電話で穂波さんに伝えたところ、
自由行動の日、抜けて博物館行っちゃえばいいのに〜とか言ってきたから、

「穂波さんが会いに来てくれるなら、そうする」

と半分本気で、でもまぁ冗談だよね、軽く言ってみたら、少しの間のあと、

『うん、いいね。じゃあ、そうしよっ』

とあっけらかんと言ってきたので少々拍子抜けした。



「高校はどうするわけ?」

『うーん… 上手くやるから大丈夫。蛍くんは写真が数枚あればいいとか?』

「…まぁ、多分」

『ホテル解散ホテル集合?』

「そうだね」

『ならなんとかなるよ、きっと。上野集合にしよっか。そしたら写真も撮れるし』

「…あぁ、うん、じゃあそうする」





僕は割と、規則は守って生きてきた。
飄々と悪びれもせずに、あっけらかんとそんなことを申し出る穂波さんに
どこか心地よさまで覚えながら、その方向で話を進めた。



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