第8章 そういえば
ー研磨sideー
挿れただけで気持ちいいのに、
そのタイミングで穂波がイくからおれも出るかと思った。
ぎりぎり、それは大丈夫だったけど。
気持ちよすぎてやばい……
今でこそ落ち着いたけど…
ちょっと前まで、夜、カエルの声がすごかった。
その時の穂波は妙に静かで。
でも朝になると、逆に声がちょっと大きくなって。
それがまたよかったんだよな、どっちもが、よかった。
『…研磨くんッ』
座ったまま繋がって。
おれは穂波のお尻の柔らかいとこに指を埋めながら、胸の突起を口に含む。
穂波は欲望のままに腰を揺らして、なんかもう、 …やらしい。
名前呼ばれたからそのまま顔を見上げると、
視線があったそのタイミングで身体をびくびくと震わせた。
それからくたぁとおれに抱きついて来る。
あーぁ… すきすぎる。
「ねぇ穂波。 おれももうイくから動くね」
あんま考えたくないけど。
平日の朝は、そんなゆっくりできない。
だからいそぐ、んじゃなくて。
だから、短い時間でもたっぷりしたい。
言い回しが違うだけかもだけど。
でも多分その心持ちって続けていくと何か、積もる何かになる気がする。
『…ん 研磨くんのすきにして……』
息を荒げおれの肩に顔を乗せたままそんなこと言うから。
めちゃめちゃにしたくなる。
なんなら裸のまま縛り付けて、おれが帰って来るまで……
とか、やばい想像しそうになったりもする。
「…ん、でもその前に。 ここ、痕つけて?」
『…いいの?』
「ん、つけて」
首指して、キスマークをねだる。
おれは穂波の。
そんなのおれと穂波がわかってればいいことだけど。
音駒を卒業して、新しい環境へ行き始めると。
それをわかってない人達ばっかで。
他のことに関してはそれはラクなことが多いけど。
おれが穂波のってことに関しては、
知らない人がいるとちょっと面倒なことも多いことを知った。