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【ハイキュー】 続・波長 【孤爪研磨】

第8章 そういえば









おれの左手は穂波の右手と繋がってて。

赤葦の言ったことからなんとなく憶測したのは
穂波は手を解いて歩き出そうとしたのかなって。

で、一瞬躊躇ったけど赤葦がいいよって言ったし。

おれの手も解かれるかなって思った。




自然豊かな公園。
穂波はのびのびすればいい、って。

暗いけど。







でもふわって、穂波の髪がおれの肩にかすめて。
繋いだ左手を穂波の右手がぎゅって少し、力を入れて握って。
それから穂波の左手がおれの頬に触れる。

と同時に唇が重なった。








キス、せずにはいられなかった。 みたいなやつだ。
穂波はこういうこと、こういうとこ、ある。








中庭でも、校門のとこでも、どこでも。

でもまぁ、最初こそ穂波は、だったけど。
今はもうおれも、おれで。

そういうとこ、ある。







「…ん、 もっかい」








離れた身体をぐっと引き寄せて。

もう一度、また、もう一度って。
何度か、キスをした。









『…ん ほわほわ』

「ん、ほわほわ」








視線をまた蛍の方に戻せば
幻想的な… でも現実にここにある世界が広がってて。

穂波が前に言ってたことが、チョットわかった気がした。








── 『そう!ほんとそれだよね。 リアルの先にあるファンタジーというか』







あの時は確か…
進路のことを初めて話した時で。

穂波は留学することをちょっと… 決めかねてるみたいだった。
なんていうか、今までははっきりしていたことを、ちょっと迷い始めたっていうか。
分かってはいるけど、ちょっと渋ってるみたいな。

あぁ、それはきっとおれが原因…ってのはおかしいけど、
おれといることがそうさせてるんだろうなって思った。
自意識過剰とかそういうんじゃなくて、そうとしか思えないタイミングだったし、言い渋り方だった。

それでちょっと、話題を変えようと思ってオーストラリアの海の話を聞いたんだ。
そしたらすごい嬉しそうに、どこかうっとりと、高い波のこととか話してくれた。
その時の、言葉だ。

この時だけじゃない、何度か聞いてる。
そういう事穂波が言うの。








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