第8章 そういえば
「木葉さんからあの数日後に連絡があって」
『木葉さん!元気してるかな。慶應だったっけ?』
「あぁ、うん。そうだね、慶應大。 なんかあの、写真を撮った人がいたでしょ?
Twitter投稿してもいいですか、って聞いてきた感じの良い人」
『うん、カフェでお茶してるときに木兎さんからのすごい量の着信に気付いたよね 笑』
「…そうそう、そうだったね 笑 その、理由はその人の投稿で。
その投稿の他にさ、写真はないんだけど文章でその日に投稿してる人達がいたらしくて。
それをまとめた投稿があったらしいんだよね、知ってる?」
『あ、うん、周平が教えてくれた。カズくんが見せてくれてね、
京治くん、わたしがトイレ行ってる間にそんなことしてくれてたんだ…ってなったし、
それになんか、SNS?ってすごいな、って思った。なんか、すごいね』
「うん、俺もすごいなって思った。色んな意味で」
名前も写真も出していないただの、呟き2件と。
その、写真付きの投稿1件を同じ人じゃないか、と憶測してる人がいて。
その投稿を木葉さんが見つけて、送ってきたのだ。
1件は洋食屋で、こんなペアルックのカップルがいた。そのカップルの様子が…… 的な内容。
もう1件は、今日店にこんなカップルが来て、彼氏に接客をした。 その彼氏がまた…… 的な内容。
悪意のないもので、俺は別に嫌な気持ちにはならないが、
穂波ちゃんは、孤爪は、どう思うのだろう、とは思った。
ただ、俺らに承諾を得て写真を載せた人がカップルではない、と綴っているので
そこの誤解は明らかになっているし、
TwitterはじめSNSなんて、縁がなかったが、
SNSから書籍化に発展する場合も少なくない時代、
その木葉さんとのちょっとしたやりとりをきっかけに俺もTwitterのみだが、登録をした。
『京治くんはやってる?何か」』
「俺は、Twitterを登録した。でも、たまに見るだけ、かな。まだ。
でも出版社や編集者、作家、それから書店員のアカウントがあって、
そういうツイートも多くあるみたいだから。もっと掘り下げてみたいな、とは思ってる」
『そっかぁ、いいね、素敵』