第7章 su casa
ー研磨sideー
『実家で過ごしてる時も… 詳細は控えるけど、いっぱいあったよそういうこと。
だから全然。それに研磨くんは家でお仕事するんだもんね?
だからなんだろな、目に見えにくい部分があるだろうな、とか。
あとね、うーんと… そう、きっと大丈夫なんだよ、基本わたしたち。
多分、そんな考えなくてもきっと、大丈夫、じゃないかな?』
…うん、おれも正直そう思うんだよね。
でもそれってどうなんだろう、って考える節もあって、クリアにしたくなってるのかな。
でも多分おれらは、これはおれ。これは穂波。
月曜はおれ。火曜は穂波。
とかそういうのはうまくいかない気がする。
でも多分、今まで通り、気遣いあってればきっと、ちゃんと、うまく行く気がする。
アバウトだし、ふわっとしてるけど、妙な確信がある。
「…だね。 解決」
『無理なく、程よく、ついでにすませつつ』
「…ん。 ねぇ穂波。 映画観ない?」
『わ。 うん、観る。 どこで観る?』
「ゲーム部屋で観よ。 サブスクももう登録した、いくつか」
『わぁ〜 あそこで映画も観れるの』
「…ん、まだまだ設備整ってなくて、音とかそんな良くないけど……」
『うん、ちょっとずつ増やしてく楽しみがあっていいね』
「…ん」
ちょっとずつ増やしてく楽しみ、か。
どかどかっと買うものも、ちょっとずつも、どっちも楽しい。
金曜日に大会があって。
それ優勝したら賞金は450万。
いろいろの資金貯めつつ、ゲーム部屋のスピーカーくらいはアップデートしたいな、とか思ってる。
あと玄関に下駄箱ほしいな… ピンとくるのがなくてまだ、いつも履く靴とサンダル以外は、部屋に置いてある。
作れるかな… 福永呼んで作ってもらおうかな… とか。
福永ができるかはわかんないけど、なんか、できそうだし。
そのために電気ドリルとか丸ノコとか、なんか工具色々、揃えたりとか。
「あ、そうだ」
『…ん?』
「段ボールとかさ、缶ゴミとかいれるとこなんだけど」
『あぁ、わたしもそれ考えてた』
雨の日の洗濯スペース的なとこがあって。
そこでいいかな、とか。
工具とかもそこに置いて。
おれの自転車は外に置いたままになってるけど、雨の日は自転車もそこにおけばいい。