第7章 su casa
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豆ご飯、真鯛の煮付け、山菜天ぷら(コシアブラ、うこぎ、タラの芽)、
のびるのぬた、筍さっと炒めておかか醤油したの、北さんの蕗味噌、
人参マリネ、春きゃべつと海藻の和風サラダ、新じゃがの味噌汁。
『糠床、持ってくるの忘れちゃった』
「あ、そっか。持ってきたらここでも食べれるんだ」
『…ふふ うん。食べれるよ』
「穂波のぬか漬けすき。 ていうか全部すき」
『…んふ ありがとう。 どれも、美味しいねぇ』
真鯛の煮付け以外、今日、思いがけずもらった食材が入ってて。
だから、どれも美味しいって言ったんだろな。
買い物した時点で今日の夕飯のことは考えてたんだろうけど。
思いがけない頂き物で、こんな風に食卓を彩ってくれる。
あー…やば… おれ、穂波のご飯初めて食べ食べた時から考えてたふわっとしてたことがあって。
それ、実現… しつつある…のか…ひとつ。
とりあえず穂波が8月にアメリカ行くまでだけど。
『というか、いっぱい頂いちゃって。大変』
「たいへん?」
『ありがたくて嬉しくて、大変』
「…ん、そうだね」
『ね』
「大学と車校始まる前に、とりあえず、うちの親と心さんたち呼ぼっか。
クロたちはまた、いつでもいいけど…」
『うん』
「あ、そうだ、父さんが展示会次の土曜はどうかって」
『…土曜』
「22日。レッスンのあと、どんな?」
『あ、うん。空いてる』
「おれ、変な時間に大会あって。多分眠くていけないんだけどいいかな」
『え、あ、うん。全然、わたしは… でもわたしとお父さんで選んでいいの?』
「うん。穂波と父さんに選んで欲しい。いいのがあれば、ね」
『…ん わかった。 じゃあ、喜んで、選んでくる』
「…ん」
まだ、茶碗がないから、豆ご飯もプレートの上にのってて。
それもまた期間限定の一興だな、とか思ったり。
いい茶碗があるといいんだけど。