第7章 su casa
ー穂波sideー
思いがけないギフトがいっぱい。
レッスンに行くまでに、やることがいっぱいだ。
嬉しい、想定外。
「穂波、アキくんから 届いた? ってLINEきた」
『あっ そうだった。 あんまりにも盛り沢山で……
研磨くん宛だったし、研磨くん開けてくれるかな?いそがしい?』
「ううん、おれは穂波見送ってからいろいろするから。全然。
開けて、連絡しておくね」
『うん、ありがとう』
お鍋でタケノコのアク抜きしながら、
炊飯器に信介さんのお米をセットして予約して…
って予約するにも初めて使うから時間のセットからだ。
あああ… ここにある全てが研磨くんと選んで買ったもので。
お鍋、ボウル、ザル、バット…
胸に溢れてくるものがある。
それから、ここに作業台的なのあると便利そうだな、とか。
早くもそんなカスタム欲が湧いてくる。
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下拵えやら仕込みやらを終わらせて。
あとは出る前にタケノコの火を止めるだけ。
今日は初めての夕飯だし、研磨くん待っててくれるって。
だからレッスン後帰ってから、ささっと仕上げれるように。
「…落ち着いた? ありがと、いろいろ」
『うん、楽しかったぁ』
「…ん。 アキくんからのラグ、見る?」
『あ、うん!』
隣のリビングに畳んで並べて置いてあって。
こたつ机の上には手紙が置いてある。
段ボールとかはもう、片付けてあるみたい。
…あ、缶とか瓶とか入れるとこ。決めとかなきゃ。
お兄ちゃんからはRon Hermanの白いコットンラグと、大判のブランケットが2枚。
なんだかもうみんなから、すっごい盛大にお祝いを受け取っていてたじたじになる。
大学生が引っ越す家、なのに。 こんな盛大になってるのは、なんでだろ。
研磨くんがもうすでに、大学生として、ではない自分の道を築き出してるからかな。
この家が、この家でなくとも引っ越し先が、
研磨くんの親御さんが借りる場所だったなら、違ったはず。
ここが、研磨くんにとっての大きな始まりの場所だから。
そんな気配がするから。
みんな、盛大かつ、お返しは結構です。
いや違った未来に倍返しで、みたいなフランクさを添えてお祝いしてくれてる。