第7章 su casa
ー穂波sideー
ベーコンと春キャベツ、フレッシュトマトのペンネ、
リーフ、新玉ねぎ、オリーブ、いちごのサラダ。
ドレッシングはオイルと塩と胡椒をたらり、ぱらぱらってしただけ。
酢もなし、レモンもなし。これが一番、美味しかったりする。
常備菜も食材も限られたほどしかないし簡単な昼食。
でもなんだか思いがけず豊かだ。
春キャベツ。
信介さんから届いた。
ふっくら柔らかく大きなのが2玉。
新玉ねぎ、ごろごろ。7個。
昼食には使ってないけど
新じゃが、春にんじんも入っていた。
そして、お米。
信介さんが就農して初めて収穫した、お米だよね、去年のだから。
ありがたい。嬉しい。嬉しい。有り難い。
リビングの畳の上で寝っ転がってゲームをしてる研磨くんを呼んで。
2人で選んだグラスにお茶を注いで。
烏野の2年生からもらったのと同じシリーズでそろえた、
クチポールのフォークで食べ始める。
器はスノーピークのプレート。
とりあえずだけどとりあえずで用済みにはならない。
とりあえずじゃない子がやって来ても、ちゃんと活躍できるもの。
わたしたちの日常が、ここから今、本当に始まっているって感じがする。
やっぱり、寝ること起きること食べることを共にするのは、すごいことだなって。
まだ1日目が始まったばかりなのに、そう思った。
「キャベツ、うま。 味濃い」
『ほんとだね、柔らかいし甘いし美味しいねぇ』
本当にほんとに美味しい、北さんと信介さんのお野菜。
「今年は行ってみるの?」
『ん?』
「GW、田植えがあるとか言ってなかった?」
『…あ、うん』
去年、迷ったけど結局オーストラリアに行った。
そうだな、今年もお兄ちゃん、ワールドツアーに出場するから招待はしてくれるだろうけど。
カリフォルニアでちょこちょこ会えそうだし、カリフォルニアで開催の時は絶対みれるし。
田植え、行ってみたいな。
…けど、8月に渡米するのにその5月の連休ってわたしにとって大きいな。
わたしは連休とかあんまり関係ないけど、研磨くんの大学は休みになるわけだし。
研磨くんと過ごしたいな…… おばあちゃん家にも一緒に行きたいし……