第7章 su casa
ー研磨sideー
「…笑 我慢しないで買お、馬鹿みたいに食べるわけじゃないし。
穂波の作りたいものが食べたい」
浪費するつもりはない。
貢ぐつもりも。
どんだけでも使っていいよ、とかいう気はないし
そもそも穂波はどかどか使うわけじゃないと思う。
おれが貢ぎだしたら怒るか呆れるかしておれから離れる気すらする。
でも今はおれが色々払ってる状況で、しかも大きい買い物も一緒にしてて。
だから穂波、無駄に我慢しちゃうんじゃないかなとか思った。
「おれ、穂波がちゃんともらった食費でやりくりしてたの知ってるから。
心さんたちが家、留守にしてる時」
『…』
「というか、食費いくらかかるのかわかんないからとりあえず今月は使った分折半にして。
来月からちゃんと決めよっか」
『…ん、そうしてみる』
「節約しろとは言わないから大丈夫。 …あーでも、まぁ失敗したらごめんけど、その時はその時で……」
…おれ何言ってるんだろ。
『んふっ…』
「…」
『研磨くんと色んなパターンの生活してるのを想像しちゃった。
バブリーなわたしたち、今のわたしたち、それからとことん切り詰めてるわたしたち』
「…笑 …どれが一番よかった?」
『今のわたしたち。次は切り詰めてるわたしたち。最後がバブリーだけど、それはきっとないな』
「ないんだ」
『うん、ないでしょ。想像しようとしても難しいからやってみて』
…バブリーな想像がまず、どんなだ?
羽振りよくお金ばら撒くみたいに使う感じ?
百貨店とか車屋とか高級ブティック?とかで。
………。
「…想像できない。 でも、ゲームはいろいろ買いたいんだよな。それもバブリー?」
『…? それは、自分へのご褒美じゃない? …でも程度によるのかな。
うーん、でもちょっと違う気がするなぁ、きっと研磨くんはバブリーにゲームは買わないよ』
「…ふ バブリーバブリーうるさいね、おれら」
店の人がクスって笑ったのが聞こえた。
たしかにおかしい会話してる、おれら。
『んふっ… ごめんなさっ ちょっと……』
穂波は少し遅れてツボに入ったみたいで
店の人にか、謝罪の言葉を呟いてから静かに腹を抱えてしゃがみ込んだ。