第7章 su casa
ー穂波sideー
一緒に市役所にいくのは何だか妙に、ドキドキした。
それぞれ、転入届を出すだけなのだけど。
数ヶ月したら住民票は抜いてしまうけど、でも。
なんだかすごく、どきどきした。
今日はこれから、ホームセンターでちょっと買い物して、
それから食材の買い物をして一度家に帰って。
昼飯を食べてから大家さんのお宅に挨拶に行く。
そのあとは片付けの続きとかのんびりする。
わたしは夕飯の仕込みをしてからレッスンに行こうかな、とか。
調味料もまだないから、
今日の買い物はとりあえず今日と明日の朝の分くらいかなぁ。
『…あ、研磨くん。ちょっとここ寄ってもいい?』
調味料にはちょっと拘りたいっていうか。
調味料だけでもそれなりのを使っておけば安心な感じがある。心強いっていうか。
「…organic grocery store」
さっきホームセンターいくために自転車で走ってたら見つけて。
帰りに寄ろうって思ってた。
「…瓶か。 ねぇ穂波、とりあえずいろいろは小さいの買ってネットで買おう」
『…あ、うん。そうだね、重いよね』
「うん。銘柄分かればおれも頼めるし」
『…ん、あ、でも』
「…?」
配達しますってチラシが貼ってある。
近隣なら6000円以上で無料で配達してくれるんだって。
調味料まとめて買えば6000円なんてあっという間だ。
『なるべく地元のお店応援したいし、この配送のやつお願いしようかな。
今日の配達もいけるか聞いてみる』
「うん、わかった」
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今日の午後からなら配達に来れるとのことだったので、
一升瓶でお醤油とみりんと料理酒。
それからお酢数種類、油数種類をお願いする。
ついでにナッツとかも買いそうになるけど、これは実家暮らしのくせだと思って思いとどまる。
調味料は拘りたいけど、ナッツは違う。オプショナルなものだ。
研磨くんと折半だし、わたしの収入は微々たるものだし、その辺、引き締めてかなきゃ。
「…計り売りなんだね、ナッツとかドライフルーツ」
『うぅっ………』
そうなの、そこがまた、すっごい魅力で……
つい、手が出そうになるの……