第3章 くじら
ー研磨sideー
「えっ研磨さん、あれっていいんですか?」
「えっ穂波さんが跨ってるのってあの影山?ユース候補の?」
一年がざわざわ。
クロ達の代は落ち着いてたから、
入れ替わる感じになる一年も落ち着いてるかな、とか
根拠のない期待はやっぱり根拠のないものだった。
今年の一年はうるさいのが多い。
「あんなのなー、研磨たちには何でもねーんだよ」
虎はなんでか誇らしげだし。
よくわかんないから、スルーで。
「…でもあんな風に跨られて、身体触られて、
且つ目を見て話されたら俺反応しちゃいそうっす」
「………」
「…まぁずっと見つめ合うってことがないから大丈夫なのか」
ボソボソと呟いてる。
…確かに。
影山は身体を伸ばすために首を横向けたり
下向けたりすることが多いから見つめ合うってことはないけど…
「いやいやいや、今見つめ合ってるぞ」
「うわ、マジだ… なんか、エロ……」
穂波は影山の両膝に手を添えて、
両膝を外に向けて倒すみたいにしてる。
内転筋…?とかいうやつだっけ
影山は首の下に手を添えて、じっと穂波をみてる。
穂波はうん、影山をじっとみてる。
いや無言で見つめ合ってるわけじゃなくて、なんか話してるんだけど…
確かにエロい。
穂波に触られるのも触るのも気持ちいいって、影山言ってたよな。
………。
あー、まだ朝なのに。
これから一日練習なのに。
もう、穂波に触りたくなってる。
でもさっき赤葦に、
「今日の夜、穂波ちゃんと過ごしてもいいかな?」
って聞かれて。
全然、強がりとかじゃなくって普通に、
「…だからそれ、おれが決めることじゃない」
って答えた。
からな…
夜も、ゆっくりは会えなそう。