第7章 su casa
・
・
・
高校在学中のわたしたちだったら、って昨日卒業したんだけど、
明日も休みで明日も一緒に過ごすならどちらかの家に泊まっただろう。
でも今は、家でパッキングなり、家族との時間なりがある。
それにわたしは今日レッスンだし池袋の駅でわかれた。
引っ越しは約10日後。
16日の日曜日。大安の日に。
大安がどうとかわたし達は気にしてなかったんだけど
15日か16日かで考えてたら、研磨くんのお父さんが16日にしなさいって。
15日は仏滅だし、とのことだった。
お互い実家暮らしからの荷物はそんなにない。
それより新しい家具や家電、の方がずっと大きく占めるだろ。
それを、明日見に行くなんて、なんだか、なんだか。
「あれ、研磨は?」
レッスンを終え家に帰るとカズくん。カズくん一家、それから周平一家。
『ただいま、みんな来てたんだ』
「うん。穂波おかえり」
「穂波ちゃん卒業おめでとう」
『ありがとう。おかげさまで卒業できたよ』
「周平もおめでとう」
そっか、卒業祝い的な集まりかな。嬉しいな。
夏には今ここにいる子ども?たちはみんな家にいない。
周平は一旦カナダに越してからすぐニュージーランドへ行くし。
カズくんとわたしは8月にカリフォルニアだ。
そう思うとなんだか、きゅんとする。
もうここ数ヶ月の間、そこここできゅんとしてばかりだ。
「ねぇ研磨ってスケボーまだ興味ある?」
『あ、うん。この間もその話してたよ。自転車とスケボーと、って』
「BMX?オフロード?」
『え? あ、ううん、移動手段としての話』
「あぁ。 じゃあさ、今度一緒にショップ行こ」
『わ、いいね。研磨くんもカズくんと買いに行きたいって』
「うん、じゃあ決まり。穂波はいつなら空いてる?」
空いてる日や時間帯を話して。
研磨にもメールしよ、とか言って。
将輝さん…カズくんのお父さんの話によると
カズくんからの引っ越し祝いなんだって。
スケボーをショップでフルセットで組めば2万は軽く超える。
それでもいろいろ安くして、だ。
カズくんがそんなことするわけない。
良いトラック良いベアリング、良いウィールで揃えて。
ざっと4万〜5万はするだろう。
一体どういう…?