第7章 su casa
ー研磨sideー
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やっぱり掃除するとこなんてなくって。
業者ってすごいね、とか言いながら。
『聖臣くんだったら除菌みたいなオプションをつけた上で
ここからさらに自分で除菌するんだろうなぁ〜』
そんなことを言いながら穂波は畳に寝転がった。
リビングになるであろう、大きな和室。
『ここには、やっぱりおこた?』
「…ね、冬はこたつ。こたつって今も売ってるのかな」
『今ならちょうどクリアランスとかかもね、新品なら』
「そっか、家電はネットでいいやって思ってたけど。
穂波と電気屋行くのもいいかも。近いうちに予定合わせれるかな、…明日はレッスンか」
『ここの近くで行く?』
「いや、池袋とかでいいんじゃない」
『…それなら明日行ける!レッスン池袋だもん』
「あ、そっか。うん、じゃあ明日行こ」
おれは3月のうちに一個ゲームの大会があるくらいで
あとは引っ越し関係と大学の手続き以外特に予定はない。
サーフィンとか撮影とかダンスとか、
バイトっていうか店の手伝いとか、穂波は予定がある。
でも、明日行けるならスムーズだ。
『お茶飲む?』
「…ん? おれも水筒ある」
『こっちも持ってきた』
穂波は鞄から蓋がコップになってるちょっと大きめの水筒を取り出した。
「掃除の道具も水分多めだったし、重かったね。ありがと」
『え?ううん、全然そんな。欲張りなだけだよ』
「…ふ 欲張って重いもの持ち歩けるなら、どうしようもなくだらけてはないね」
どうしようもなくだらけた欲張り。
穂波が自分のことをそう称してたけど、
あれは何に関して言ってたんだっけ。
タヒチかハワイからの葉書に書いてあったはず。
帰ったらハガキ読んでみよっと。
引っ越しの準備のついでに。
『…ふふ。 時と場合によって、そっちも出現します』
そう言ってカップにお茶を注いで渡してくれる。
それからどの部屋をどんなふうに使いたいかとか、何が欲しいかとか、
一つのカップで2人でお茶を飲みながら、
おれたちのかばん以外まだ何もない畳の部屋でいろいろと話した。