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【ハイキュー】 続・波長 【孤爪研磨】

第7章 su casa


ー穂波sideー






「…んーじゃあ、食費はちょっと考える」





バスを降りて家までの道すがら、
少しの間黙り込んだのちに研磨くんがそう言った。






「予算決めて、その半分はおれが出す。食費だけ折半が無難かなって思うけど」

『…』







家賃も光熱費も何もかも出してもらって挙句食費もだなんて。
…違う、わたしの思い描く2人暮らしと、なんか違う。

でもまぁ…実際研磨くんは自分でお金を稼ぎ始めてて
それを継続、維持、発展させるためにいろんなビジョンを描いてて。
ここで始める生活の資金もこれからするお買い物も、全部自分で得たお金でするのだし。

はたまたわたしは、渡米するまで宙ぶらりんな状態で。
バイトや手伝い、それからレッスン。
お仕事と呼べることはするけれど、車校だって親のお金だし、
留学先での光熱費とかもお兄ちゃん持ちだ。

そんな状況で、
ましてや夏までの数ヶ月の同棲では、
たしかに、研磨くんの言ってることを飲む他ないか。という感じ。

…自立、とは。







「穂波、それぞれの状況とかあると思う」

『…』

「今はそれがいいよ、ね?」

『…ん』

「おれが頼んで一緒に暮らそうって言ったし、 …いやそれは関係ないか」

『うん、関係ないよ。誘ってもらって一緒に住むって決めたのはわたし』

「うん。 ここはおれが借りた家。 だからおれがとりあえず色々やる、その、買い物とか」

『うん』

「でも一緒に選んで欲しい」

『うん』

「んーと… 穂波が本当に一緒に住むようになったらその時はまた改めて考えるけど…」

『うん。ごめんね、気にさせちゃって。研磨くんのいう通りだと思う』

「…ん 遠慮したりして、変なことしないでね?」

『変なこと?』

「その分、〇〇しようとか、そういうの。いいから。いつも通りで。
…っていつも通りの穂波って家で結構色々するからな、十分働いてる感あるけど」

『…ん、いつも通りで。 そうする』

「まぁここ自体がいつも通りの場所じゃないから、
その いつも も、これからおれらで作ってくんだけど」








研磨くんと2人で作っていく、いつも、か。

大きくてこざっぱりしてかわいらしい平家を前に、
その言葉を、その意味を噛み締める。










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