第7章 su casa
ー研磨sideー
駅の方で、掃除に使えるもの買ってこうって思ったのに。
ネットで買って届くようにしようかとも思ったけど
何買ったらいいのかよくわかんないし、
それにこれから住む町にある店に穂波と行くのってなんか、いいと思った。
「掃除道具買い忘れた」
『…あぁ ほんとだね。 でも少し持ってきた。 最低限のいろいろ』
「え、そうなの?そこに入ってるの掃除道具なの?」
『掃除道具も結局家にないといけないものだし、今日はこれを置いて帰る』
「…ん、そっか。 ありがと。 助かる」
『箒とかバケツとかはまだないよ』
「…ん 笑 わかるから大丈夫」
『…だよね』
「今日さ、掃除したり部屋一緒にゆっくり見てさ」
『うん』
「何がいるかとか、考えよ? で、近いうちに買い物行かない?」
『えっ?』
「え?」
『買い物?』
「うん、なんかいろいろ。空っぽなんだよね、家具とかちょっとあったけど、空っぽにしてもらった」
『…買い物』
「家電とかこたつとか、電気のやつとか」
『…』
「穂波?」
『うん、一緒に考える。一緒に買いに行く』
「…ん、よかった」
バスが停まる。
2人分360円を払って、ついでに回数券を買って降りる。
『研磨くん、いろいろはこれまで通り、折半で』
「…折半 笑」
バスの運賃を払ったことに対してか、これからの暮らしに関してか。
穂波がそんな提案をしてくる。
「…んーと、とりあえずアメリカから帰るまでは折半じゃなくていい」
『……』
「おれ、これからちょっと、色々やってくから。
あーでも、わかんない、たぬきのおじさんも失敗しても、みたいなこと言ってたし、失敗するかもしれないけど」
『…』
「穂波が日本にいない間におれが、住む家だから。
とりあえず色々はおれが払う。家賃も、なんか生活にかかる色々も」
『…』
「んーと、穂波はそうだな……」
『食費、出します』
「ん?」
『エッセー書き終えてから、いろいろ報酬の貰えるお手伝いとかしてきたし、
アメリカ行く前も行ってからも、バイトはするから』
「…んー」
食費ってどんくらいかかるんだろう。
わかんないから2つ返事にうん、お願いって言えないな。