第7章 su casa
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矢川駅からバスに乗って移動してる。
川も流れてて、緑も豊かで。良いところ。
これは、自転車欲しい、欲しい!
『大学も自転車?』
「…んー 日によるかも。 天気次第。 …あ、スケボーもいいかも」
『うん!うんうん!』
「自転車だと10分かかんないくらいだって大家さんが」
『ちょうどいいね』
「…ん」
『自転車かスケボーかバスかぁ、いいね、いいねいいね』
「穂波は、車?」
『ううん、バスかな。自転車はちょっときついからバスにする。
車もお兄ちゃんのあるけど、できる限り公共交通機関、使いたい』
「ねぇ、バークレーの魅力って何?」
『…ん?』
「行きたい学部の実績、とか以外にもあるんでしょ」
『んとね… おいし… んーとね…』
「…笑 おいしい?笑」
『いや違うの、いやそうなんだけど。アカデミックな面、それから校風。
それを除いての魅力となるとね…、学食が美味しいとこ、こだわってて。
それから、大学じゃなくてバークレーって土地には
オーガニックマーケットとかカフェが栄えてるとこ、かな。だからあつまる色々が結局すき。
アカデミックな感じとヒッピーライクな感じが混在してる感じもとても好き。リベラルな感じ』
「そんなとこが、アキくんの家から通えるならそりゃ、行くよね」
『うん。行く。 ストレートで入れるといいな』
「…ん、入れるといいね」
夜久さんが昨日言ってた通り、
わたしたちには入試の結果が出るまでのもやもやした感じが全くない。
ただあっけらかんと、今を過ごしてる。
研磨くんはきっと、落ちたら落ちたでやりこむことがあるんだろうし、
それに見込みがあるから。 どっちでもいい、というか。
どっちでも大丈夫な状況に自分で持っていったんだ。
わたしはどっちでもいい、わけではないけど、
ありがたいことに向こうに住める家があるわけだし、
行っていいよって言ってくれる親がいるわけだし、
落ちたら落ちたで向こうでやれることがいろいろ、ある。
だから、うん。
全くもやもやはなく。
研磨くんが、次降りますのボタンを押す。
「あ、しまった」
『…?』
押した後で何かうっかりを、思い出したみたい。